トランスポーター2

2005年9月7日
面白かったーー
この映画、たぶんものすごく短いと思う。
1時間半ないって感じだな。
でも、ダラダラやらずに短くまとめたところが勝因じゃなかろうか?
ストーリーはたいしたことないけど、アクションだけで最後まで引っ張れるからね。

一番の勝因は、やっぱアクションシーンでしょう。
私はジャッキー・チェンの、その場にある道具をいろいろ使ったアクションがとても好きなんだけど、今回のジェイソン・ステイサムのアクションは、まさに私の好きなそういうアクションだった。
消火栓使ったり、配管を使ったり、折れた配管を使って闘ったりね。
いやいやー観てて本当に楽しかった。

「ははは、そんなんでいいのか」と、かなりご都合主義的なところが多々見られるんだけど、それを許せちゃうくらい、アクションシーンがおもしろからいいかな。

オードリー役をやっている人、どっかで観たことがあるなーと思ってたら、Hitchに出てた、お金持ちのお嬢様だった。そういわれてみればそうだ。

この作品、てっきりリュック・ベッソンが監督だと思ってたら、彼は脚本を共同で書いただけなのね。前作もリュック・ベッソンかと思ってたんだけど。

でも、リュック・ベッソンの好みが出てるなーって思ったのが、敵役のローラの役まわり。不必要にセクシーなカッコ(フィフス・エレメントの時はミラ・ジョボビッチの衣装というか最初に着てたものがほとんど裸って感じだったような)をしていて、エキセントリックに銃を撃ちまくるっていう女性キャラが彼は好きなのに違いない。
今回演じているケイト・ノウタ(ナウタ?)は、そんな彼の期待にばっちり応えて、スキニーな身体にセクシーな衣装を着けて銃をぶっ放しまくってた。

これはやっぱり劇場での鑑賞がお薦めだね。
アメリカでもヒットしているから、日本でも公開されることは間違いないでしょう。その際には是非!
1作目が人気だったから作ったんだと思うんだけど、はっきりいえばB級ですわ。劇場に観に行かなくてよかった。DVDでも十分。っていうか、「今週末はDVDレンタル料金半額!」みたいな時に借りてみれば十分っちゅう感じやね。

なんかもう最初から先が見えているというかね、ストーリーが読めちゃってて。
しかもなんかいきあたりばったりな展開だしさ。
1作目が人気だったから、そんなに頑張らなくてもそれなりに人が集まってくれるからいいかなって感じで作ったに違いない。きっとそうに違いない。

サンドラ・ブロックがいろんなカッコで現れるので、「サンドラ・ブロックさえ見られればそれでいいのさ!」って人には大変お薦めするのだけどね。

あ、でもここのところ英語字幕なしで観ているので、時に「うーん、こういうところが今ひとつわからなかった」ということが多々あったのだけれど、この作品については、そこまで深く考える必要が一つもなかったという点で、英語字幕なしでも十分だった作品だな。
観ればわかります。

せっかくこっちでレンタルビデオ屋さんの会員になったので、たくさんDVD観てやるーーって思っていたんだけど、結構忙しいのと、結構高くてあんまり借りてない。日本円に換算すると1枚500円以上するんだよね。それって高いでしょ?
こっちは映画が安いので、だったら劇場に観に行った方がいいなと思ってしまう。これは映画会社の策略なのか?
そうやもしれん。

そんなわけなので、この作品は、ま、時間のあるときにへららーと気を抜いて何か観たいわというときに観るのがよろしいかと。

アイランド

2005年8月12日
映像がカッコよかったんだよね〜
ヘリコプターでいなくなった二人を捜索するシーンとか、ただ単にヘリコプターを砂漠地帯に飛ばすだけじゃなくて細切れでカットをつないだり、他のシーンでも、細切れでカットをつないでいるシーンがたくさんあった。もしかしたらそれが「ちょっと観づらい」と思う人もいるかもしれないけど、なんか私にとってはミュージックビデオを観ているような感じ結構評価高し。

ストーリー自体も最後まで十分飽きずに観られたし、なかなか面白かったと思う。前にプレビューかCMで観ていたよりも、実際の作品の方がよくできていると感じた。近未来の設定なので、施設の設備とか生活ぶりなんかは、近未来っぽく描けていたと思う。ロスの街やAmtrakとかも近未来的になってたもんね。でも・・・カーチェイスのシーンが現代とまったく変わってないじゃないか!ひとつだけ、ちょっと近未来っぽい乗り物を加えてみたつもりだったんだろうけど、車は車だし、ヘリコプターもヘリコプターだし。道路だし。今と同様にタイヤを地面に接触させて走っているし。ここだけがちょっと惜しいな〜
例えばウィル・スミスのiRobotのときのように、もうちょっと未来っぽい車になるようにあと一工夫欲しかったよ。
そこだけはちょっと惜しかったな。

とはいえ「現代の」カーチェイスでもそれなりに迫力はあったし、よく考えてみると近未来要素、アクション要素、ロマンス要素とてんこもりの作品だったんだね。いやいや、これは劇場に観に行く価値あるんじゃないでしょうか。日本ではいつ始まるのかな?
ようやく観に行って来た。またしても英語で字幕なしで観たので今ひとつ全部を理解できたわけではなかったんだけど、それでも結構楽しめたかな。でもやっぱり悔しいのが言葉の壁。執事のおじちゃんがなにか言うたびにどっと笑い声が起こったりするんだけど、ほとんどついていけず。く〜悔しい。

渡辺謙は「ラスト・サムライ」のときはかなりカッコよかったので期待していたんだけど、今回は何か今ひとつカッコよさは感じられなかったな〜
なんか微妙な感じ。怪しい言葉を話していたし、見た目も怪しかったし。渡辺謙のカッコよさがいまいち引き出されていなかったように思えるのが残念。

ストーリー自体は、結構人間ドラマ的な部分があって、今までのバットマンとは違った楽しみ方ができたような気がする。過去と現在の話がときどき入り交じったりしていたものの、それも混乱せずに見られたし。そして、思っていたよりも話が長かったのも、私としては予想外だった。「あ、このあたりでおしまいなのかな」なんて思っていた辺りからちゃんとお話がさらに展開して、迫力のある映像とか、味方っぽい刑事のおっちゃんが楽しそうにバットマンカーを操縦したりするシーンもおもしろかったし。

でもね、どうしてゴッサムシティを謎の集団がめちゃくちゃにしにやって来たのか、その理由が今ひとつ分んなかったんだよねー。バランスをとるためだとかなんとか言っていたように思うんだけど。

字幕なしで観た映画、これで4本目なんだけど、この作品も言葉がなくてもそれなりに楽しめてよかった。あ、そういえば唯一残念だったことは、作品自体についてじゃなくて、結構ギリギリの時間に観に行ったので、いい席が取れなかったこと。前よりの左端の方から観たら、登場人物の顔がみんなちょっと歪んで見えた!!これは残念だったワー
観てからもうだいぶ経ってしまった。
これまた英語で観たので、最初の方のトム・クルーズ扮するレイと子供たちの絡みとかは理解できなかった。どうやら離婚して、子供たちはたまの週末とかに、奥さんと再婚した相手のうちからやってくるように思われることや、とはいえ息子とも娘ともそれほど仲良くはしていない様子とか、その程度のことはわかったんだけど。

ただ、一旦宇宙人が現れてしまえば、そのあとは言葉がわかんなくても映像の迫力で最後まで観られた。ストーリー的には「なんで?」と思わずにはいられないところもあったんだけど(息子がどうして先にボストンに着いているのか?とか)、ま、それは良しとしましょう。

いくつも衝撃的な映像があったんだけど、いつまでも印象に残っているのは、突然地面から宇宙人たちが現れてレーザー光線みたいなのを撃ちまくって、人々が灰になっちゃうシーン。レイのすぐそばの女の人が一瞬にして灰になっちゃったシーンとかはかなり衝撃だった。あと、船に乗り込もうとしたレイたちが、踏切のところで立ち止まるんだけど、その目の前を火を噴きながらアムトラックが通り過ぎていくシーンもかなり印象に残ってる。しかも、人びとがその火を噴きながら猛スピードで走っている列車を、ただただ呆然と無言で見送る姿が。あまりにもたくさんショックなことがあると、無言で何も言えなくなっちゃうのかな。うちひしがれている様子がにじみ出ていたと思う。あそこでなんかセリフがあったらたぶんこの悲壮感は出なかったと思うし。ちなみにこの映画を観たあと私もアムトラックに乗ったんだけど、ついついその火を噴きながら走っていくシーンを思い出してしまいちょっと怖かった。乗り心地は日本の新幹線みたいな感じで結構快適だったんだけどね。

あと、隠れているシーンは、なんかホラー映画みたいなノリで、とにかくこっちも息を殺して観ちゃった。肩凝りましたわー

あ、一つだけ気に入らなかったのは、ダコタ・ファニングの悲鳴。特に車に乗っているときのあの悲鳴は、スクリーンの中にはって口に手を当てて黙らせたかったわ。

全体的に観れば結構満足。ストーリーとしての「なんで?」な部分は、英語がわからなかったからなのか、そもそもストーリーとして穴があるのかはわからないけど、映像がよかったからまあいいや。

Mr. & Mrs. Smith

2005年6月29日
これってもう日本でも公開されたのかな〜?
こちらでは公開されてから少し時間が経ってしまったのか、先週まで上映していた映画館ではもう終わってしまっていた。代わりに「バットマン・ビギンズ」が始まったので。でも別の劇場ではまだやっていたので、そちらで観ることに。

字幕なしで観るので、すべてを理解することはできなかったんだけど、それでもこの映画なら、言葉がわからなくてもそれなりに楽しめる。ただ、所々、二人がインタビューを受けているような感じのシーンがあって、そこで話している会話なんかはいまいちよくわかんないんだよね。「二人の出会いは?」みたいな、カメラには写らない人の質問に対し、二人が答えるところから画面が変わって、5年か6年前(ここも笑いどころなんだろうけど)にブラッド・ピットが演じるジョンと、アンジェリーナ・ジョリー演じるジェーンが出会ったところからストーリーが始まる。

これ以降は、特に言葉がわからなくてもかなり楽しめる。
日本でも二人が家の中でマシンガンとか撃ちまくりつつ「まだ生きてる?」なんて言っているシーンが予告編やTVCMで流れているんじゃないかと思うんだけど、どうしてそんなことになっちゃったのか、ずっと観ているとかなり笑える。遊園地(日本で言うと縁日かな?)の射撃で、最初は適当に撃ってたジェーンが、ジョンが上手なのを見て「負けず嫌い」な感じで、2回目はパーフェクトだったというエピソードや、ジョンがわざと落としたワインボトルをとっさにキャッチしてしまったジェーンが、「しまった!」という表情とともにまたわざと落とすシーンとか、そういうちょっとしたシーンが結構笑えた。

そして、ようやく激し過ぎる夫婦間の争いにピリオドが打たれたと思ったら、その後もお話が展開していくのね。
私は夫婦喧嘩が終わったら終わりだと思っていたからちょっと意外だったわ。

最後にまたインタビューみたいなシーンがあって、そこで最後にブラッド・ピットが何か言う(というかジェスチャーする)んだけど、そこで他の観客がどっと笑ったんだよね〜。でもこっちは全然意味が分からないから笑えない。あー悔しい。何でみんなあんなに笑っていたんだろう?ちょっと下ネタだと思うんだけどね。

この映画の共演で、日本で言うところの「女性自身」とか「女性セブン」(多分そんな雑誌名だったと思うんだけど)みたいなこちらの雑誌では、しきりにブラッド・ピットとアンジェリーナ・ジョリーの仲が取りざたされている様子。ま、それも宣伝のためかもしれないけどね。

完全に理解できた訳じゃなくても、結構面白かったから、字幕で意味が理解できればもっと笑えるかも〜アクションとしては、まあまあってところでしょうかね。
今Public Speakingという英語のクラスをとっているんだけど、この間最初のクラスで他のクラスメイトたちとお互いのことを紹介し合うというときに、
「好きな映画の題名をここにかきましょう」とかって先生に言われて真っ先に思いついたのがこの映画だった。
でも、他のクラスメイトはあまりしらなくて、先生だけが知っていたかな。
先生も「この映画はいい映画で私も大好きだ」っていってた。で、他のクラスメイトも「どんな映画?」って聞くから、説明は難しいけど、とにかくおすすめだってことでみんなに紹介したんだけどね〜果たしてメキシコ人やブラジル人も「ほんとにいい映画だな〜」と思うものだろうか?ラブストーリだから、万国共通で通じるんじゃないかなとは思うんだけど。

とにかく、ここ最近見た中で、観終わった後にもっとも幸せな気分になれる映画じゃないだろうか。あれ?最初は劇場で見たんだったかな?最近DVDでまた観たんだけど、何回観てもいい映画だな〜
観終わった後に、とにかく幸せな気分になれる。いろんな形のラブストーリーなんだけど、登場人物たちがみんなどこかでちょっとだけつながっていて、恋人同士のラブストーリ−だけじゃなくて、親子、友人、兄弟、中には不倫も、中には片想いも。すべてがハッピーエンドというわけじゃないんだろうけど、それでも何か希望のある終わりだから。これだけの登場人物たちをうまくつなげたことについて、製作者たちに拍手を送りたい。そして、こんな心温まる作品をいつまでも作っていってほしいものだ。

今アメリカにいるので、映画もこれまでみたいに観るだけで理解するというのは難しい環境なのだ。何しろ字幕がないもので。この作品は、字幕がないとだめだろうな。字幕がなくても楽しめるのは、おそらくアクションものとかの分かりやすいやつだけだ。映画一つ観るのも大変だわ〜
これまた重い作品を作ったもんだね、クリント・イーストウッドのおじちゃんは。最近見た「ミスティック・リバー」もそうだし、以前アカデミー賞(多分監督賞)を受賞した「許されざる者」もまあそうか。どれも重くて暗いかも。

もう31歳で、そしてすぐに32歳になろうというマギーは、ボクシングだけに自分のすべてを賭ける女性。好きだった父親は死に、母親や兄弟たちはものすごく嫌な奴らなのだ。彼女の生活はあまりに厳しい。ウェイトレスのバイトしながらジムに払うお金や生活費を稼いでいるんだけど、店の客が食べ残したものを持ってかえって食べるくらいの生活をしてまで、ジムに半年分のお金を払ったりする、そのエピソードから、彼女がどれくらいボクシングにすべてを注いでいるかがわかる。

そんな一途なマギーを、最初は「女は教えない」なんていって受け入れなかったフランキーも、スクラップの言葉やマギーの一途さにほだされて結局彼女のコーチをつとめることに。

フランキーは、自分のボクサーを大切にするあまり後もう少しで自分のボクサーもチャンピオンになれるというところで逃げられちゃったり、どうしてだかわからないけど、娘には絶縁されていて、毎週欠かさず欠いている手紙もすべて封も開けずに送り返されるような孤独な生活を送っている。

この二人を、静かに見守っているのがスクラップ。スクラップとフランキーのやり取りは、「本当に友達なの?」って思うくらい、言葉は悪かったりするんだけど、それも本当の友人だからこそなのかも。

フランキーのコーチのおかげで、マギーがどんどん力をつけ、家を買えるようになるくらいまでになり、さらいに階級を上げて、チャンピオンまであと一歩というところで悲劇が起こる。まさか、こんなことになっちゃうとはね・・・二人は血のつながりは当然ない訳だけど、いつの間にか、本当の父と娘に匹敵するほどの絆ができあがっている。家族愛はよく言われるけど、こうして本当の血のつながりなんてなくても、本当の家族よりもお互いのことを愛せるようになったりすることがあるんだな。父と娘ではないけど、B’zの昔の歌に「時の流れは妙におかしなもので 血よりも濃いものをつくることがあるね」という歌詞があるんだよね(果たして松ちゃんと稲葉さんのことを歌っているのかどうかは分からないけど)。そういう、長年一緒に苦労を共にして来た相棒との絆も、兄弟や家族の絆よりも強かったりするのかもしれない。考えてみれば夫婦だって、元は血のつながりなんてない、赤の他人だもの。それでも夫婦の絆というのは強いしね。

最後の方に、ゲール語で「モ・クシラ」という言葉の意味を聞いたときにマギーがうれしそうに涙を流すシーンが、二人の絆の強さを物語っている。

クリント・イーストウッドは、作品の最後に、少しだけ明るい希望を残すこともわすれない。そういえば、「ミスティック・リバー」でも、家を出て行ってしまった刑事の妻が生まれた子供を連れて帰ってくるという、少し明るい要素が描かれていたかも。たくさんの人がこの作品に感動し、そしてこの作品がアカデミー作品賞に選ばれたのもうなずける。ずしりと心に響く作品だった。

ホワイトアウト

2005年6月21日
あーあ、せっかく快適な空の旅のはずだったのに、JALに乗ったら観たい映画をあまりやってなかったんだよね。ちょっとがっかり。ま、最近のJALの不祥事続きを考えれば、「落ちなかっただけでもマシだと思ってくださいよ〜」みたいな言い訳にもついうなずいてしまいそうだが。

そんなわけで、昔やってた織田裕二主演の「ホワイトアウト」なんて観ちゃいましたよ。本当は日本ではまだ未公開の、ヴィン・ディーゼル主演の映画を見た簡単だけどね〜。なんでも機内誌によれば、腕利きの軍人だか特殊捜査官だかであるヴィン・ディーゼルが、5人くらいの子供たちをたった一人で守り抜くみたいなハチャメチャストーリーらしい。凶暴な「リディック」を演じているときでさえ、その瞳の美しさから「こいつ、実はいい奴に違いない」なんて思わせてくれたヴィン・ディーゼルだから、きっとベビーシッターもきちんとやってのけるに違いない。残念ながらこの作品は、日本に帰る便でのみの上映なのね。今回は片道切符なので、観れないな〜

さて、「ホワイトアウト」に話を戻そう。
結構豪華メンバーなのね。佐藤浩市、織田裕二、松嶋菜々子、石黒賢という、それぞれ主役をはれそうなメンバーがたくさん出ているじゃありませんか。まあそれなりに楽しめたんだけど、ちょっといただけなかったのは、織田裕二の痛がり方。ちょっとわざとらしく思えたのは私だけですかね〜
でも、作品のストーリーとしては、思ったよりも面白かった。何が面白かったって、ただ単にテロリストがダムに閉じこもって自分たちの仲間の釈放を要求するっていうだけのお話じゃないのね。最後になって、実はいくつもの筋が絡まっていたことが分かったのが面白かったのだ。いや、そりゃあ「現実的にどうなのよ」と思わずにはいられないところもあったんだけど、そんなこと、小説や映画の世界ではありがちなのでまあいいかと思える範囲だった。

この作品の撮影は大変だっただろうな〜。全部をセットで録るわけにはいかないだろうから、雪深い中で撮影したと思うんだよね。スタッフも役者も大変だよ、こりゃあ。

ま、ビデオでなら観てもいいんじゃないでしょうか。

タイムライン

2005年6月20日
この作品、劇場公開中は「B級作品のにおいプンプンですわ〜」なんて思ったりしていたんだけど、観てみると実はそれなりに楽しめたりして。少なくとも、『嗤う伊右得門』よりはよかったよ。間違いないっ!あーあ、私、永井秀和結構好きだったんだけど、なんだかすっかり見かけなくなっちゃって。あんまりテレビも見る方じゃないから、私が見てないだけなのかもしれないけど、それにしたって見かけないと思うの。お笑いの世界も移り変わりが激しいよね〜波田陽区も結構好きだったんだけど、最近じゃ「うちくる」以外では見かけないしな〜残念っ!

って、だいぶ話がそれちゃったんだけど、この作品のおもしろさは、二つのタイムトラベルの対比にあると思うんだよね。一つは、文字通り、科学的に時間をさかのぼること。物理だのなんだの、小難しいことはよくわからないし、現実的にこんなことが可能なのかどうかはわからないけど、科学的に一瞬自分の体を全部分子レベルにまで分解して、そしてある時間のある場所に移してまたもとの人間の形に戻すという手法。で、もう一つのタイムトラベルは、考古学。例えば「インディ・ジョーンズ」シリーズとか「ハムナプトラ」とか、考古学をテーマにした作品が人気なのは、その作品の中では、観ている側は、過去のタイムスリップして、実際自分の目で、その時代に起こったことを見ているような気分になれるからじゃなかろうか。だから、考古学もタイムトラベルの一つと考えていいかと。作品の中で、登場人物の一人が、過去こそ面白いっていうんだけど、それには私も賛成。自分たちの先祖がどんなことを考え、どんな風に暮らしていたのかということを、直接その場に行くんじゃなくて、残された手がかり、それは遺跡だったり壁画だったり文献だったりする訳だけど、その中に隠されたヒントをつなぎ合わせて推測するという作業はとても面白いと思う。吉村作治先生がエジプトでの発掘に夢中になる気持ち、わかるもの。私の母も、私の夫も、もしそれでご飯が食べて行けるなら、考古学をやりたかったいっていた。私が高校生とか大学生とか、将来何になろうかと考えていた頃には考古学をやりたいなんてことは思いつきもしなかったんだけど、今になったら、そういう人生も面白かったかもね〜なんて思ったりするもの。もちろん、それでご飯を食べられるようになるにはかなりの苦労を要すると思うんだけどね。

全然知っている俳優さんとか出てなかったんだけど、結構面白かった。容赦なく登場人物が死んで行くのもけっこう意外な展開だったしね。この作品は確か1500年代の英仏100年戦争の頃を舞台にしているんだけど、そのときに使っていた投石機って、1100年代を描いていた「キングダム・オブ・ヘブン」と比べてほとんど進歩がなかったような・・・当時の進歩はゆっくりしたもんだったのね。同じスピードだったら、この世の中にはまだ核爆弾なんてものも生まれずにすんだかもしれない。

そんなわけで、結構楽しめた作品だったのでした。

嗤う伊右衛門

2005年6月19日
うーん、劇場公開時にちょっと面白いのかな〜なんて思いつつ、結局観に行かなかったから今回DVD借りて観てみたんだけど・・・だめでしたわ。訳が分からない。意味が分からない。話の筋が見えない。

なんだろう、まず感じた違和感は、小雪演じるお岩さんがものすごく早口に思えたこと。なんて言っているのかはっきり聞き取れないところがあったりして。それからストーリーがいまいち理解できなかった原因なのかもしれないけど、ところどころセリフがほとんど聞き取れない。普段の声は普通に聞こえているから、これ以上ボリュームを上げる訳にもいかず、でもボリュームを上げないままだと、ボソボソとかヒソヒソって感じで、何を話しているのか聞こえやしない。別に私が難聴な訳じゃないと思う。他のセリフは普通だったし。ってことは、意図的に声を小さく録っているということになるんだろうな。あるいは監督は読唇術ができるとか?ま、脚本わかっているから、自分はわかっていて問題ないのか。普通映画でボソボソヒソヒソってセリフが聞き取れないなんてことないよね。何だったんだろう?

悪い奴の策略にはまって、お互い愛し合う同士なのに分かれることになった岩と伊右衛門。伊右衛門が幸せになるためだったらと身を引いたのに、伊右衛門が幸せになるどころかますます悪い奴のいいようにされていることを知って怒り狂う岩。その辺からストーリーが急展開していくんだけど、それもなんだかわけわかんなくてね〜何があったのか、どういうことなのかっていうのを、全部登場人物がセリフとして説明するもんだから、ひとつひとつのセリフも長くてね〜

あと、表現もなんだかちょっと好きになれない。昔観たひどい日本映画の一つに「梟の城」があるんだけど、首がとんで血がぴゅーって吹き出すような感じのシーンがよくあった。今回もそれに近いものが結構あるのね。こういうシーンて観て喜ぶ人がいるからこんなに繰り返し繰り返しいろんな作品で使われるんだろうか?実際に人が刀で切られるのなんて見たことがないから、本当に血がぴゅーって出るのかどうかも知れないけど、なんか作品が急に安っぽくなるように感じるのは私だけでしょうかね。こんな安っぽい表現は、それをわざとやってるタランティーノの『キル・ビル』だけで十分かと。好みが違うから、やっぱりこういうシーンが好きな人は好きなのかしら。あと、べりべりっと皮膚を剥いだり、気持ち悪いシーンも私はやだったんだけどね。

というわけで、我が家では、この作品を借りてみようと提案した夫に非難集中の作品でした。原作があるらしいから、そっちを読んでいればもっとわかったのかしら。やれやれ、夫と一緒に映画を楽しめる貴重な時間を使ってこんなもん観ちゃったかとちょっと後悔させられた作品だった。
私が通っていた高校って、なぜだか演劇が盛んで、文化祭のときには各クラスがかなり力の入った舞台を演じる。たった30分かそこらの劇なんだけど、3年生くらいになってくるとそこそこに質も上がって来て、少なくとも「学芸会」ではなかったと思う。そんな高校時代の文化祭で、私の友達のクラスがこの作品を舞台で演じた。原作の小説も読んだ。そんなわけで、今回は映画も観てみることに。

古い作品だから、演出の仕方とかで「古いな〜」と違和感を覚えることもあったんだけど、想像していたよりも大人の作品になっていた気がする。小説も、今となってそんなにはっきりとストーリーを思い出せる訳ではないんだけど、チャーリーと先生役の女性との間の恋愛みたいなものまで描かれていたかどうかは全く覚えがないや。もちろん、友達のクラスが作り上げた舞台には、30分しか余裕がないから、恋愛要素までは到底盛り込まれていなかったしね。映画ならではの味付けか?チャーリーと先生が恋に落ちて、二人でずっと一緒に過ごすシーンがあるんだけど、その間何回もチャーリーが「結婚しよう」って言っても、先生はなんだかのらりくらりとかわしていたのに、チャーリーの脳は、手術前のレベルにまた戻ってしまうことが結論づけられたら途端に「結婚しましょう」って言い出すところがちょっと許せなかった。何なんでしょう。自分よりも賢い人とは一緒にいられないという超プライド高い女ということか?謎だ・・・

あ、この作品を観ながら何度も「古いな〜」と思ったのは確かなんだけど、この作品も、時々、画面を二分割して、会話をしている二人の人物の表情を両方映したりしているシーンがあった。画面を分割して一度にたくさんの出来事を描く手法は、映画では「ハルク」が印象に残っているし、それ以外だったらなんといっても人気テレビドラマシリーズの「24」を思い出す。「あ、この手法って、こんなときでも使われてたんだ」なんてちょっと感心してしまった。

今じゃあこんな人体実験みたいなことは多分許されないんだろうな。これは別に実話というわけではないだろうけど、昔はこれに近いことが普通に行われていたのかも。最近はどんどん記憶がなくなって行ったり、若年性認知症なんかをテーマにした作品もあるけど、そんなふうに、今まで覚えていられたことが、今まで理解できたことが、今まで考えることができたことが、この先できなくなるとじわじわ思い知らされる気持ちというのはどんな感じなんだろう?考えるととてもこわいよね。

この作品に関しては、文章の方が表現手法としては優れていたかも。この原作は、最初はひらがなばかりで、間違った言葉もあるような、本当に小さな子供が書いたような文章で始まる。そして、チャーリーの知能が手術のおかげでどんどんあがって行くにつれ、文章には感じが増え、難しい言葉が増えてくる。そして、また、最初のひらがなだらけの文章に戻ってしまう・・・チャーリーの様子がどんな風に推移していくのか、読んでいる側はとてもよくわかった。その点、映像という表現手法を用いたときは、俳優ももちろんそれなりにチャーリーの変化をうまく演じていたんだとは思うんだけど、文章のわかりやすさにはかなわなかった様子。

もしも原作を読んだことがあったり、なんか興味があったら観てみてもいいかもね。でも結末で気分がちょっと暗くなっちゃうので、そういう暗いのを観ても大丈夫な状態のときに観た方がいいかも。
こんな作品のことを書いても、「は?」だよね。でも、何かのおりにラスベガスに行くことがあって、ルクソールのIMAXシアターに行くことがあれば、もしかしたら観るチャンスもあるかもしれないじゃない?

品川のIMAXシアターがどれくらいの大きさだったか覚えていないけど、ルクソールホテルの中にあるIMAXシアターは、ビル7階分の高さのあるスクリーンが迫力満点。7階分だよ、7階分。しかも、それが単体の建物としてたてられている訳じゃなく、ホテルの中にあるのだ。どういうことなんだろう。食事の量と同じで規模がでか過ぎるぞラスベガス。

作品自体はというと・・・たしかに途中、本当に自分が飛行機に乗っているかのような錯覚を覚えるシーンが何度かある。急降下したり旋回したり。でも、まあストーリーはあってないようなもので、実際に存在するパイロットの、ある訓練プロジェクトへの参加を描いている。そして、最後にこの作品に出演したパイロットがどの戦争に参加したかということも出てくる。うーん、そんなに避難するつもりはないし、このパイロット自身にも何ら落ち度はないけど、やっぱり「戦争肯定」映画なんだろうな。基本的なところは、軍国主義時代の日本の「兵隊さんたちがお国のために頑張って闘っているんだから・・・」というのと何ら変わらないのだろう。

あとね、結構疲れていて、実は途中眠くなっちゃうところもあったんだよね。そういうわけで、ストーリーとかはよくわかんなくて。

戦争のことをよそにおいておけば、私自身は一生絶対乗ることのないだろう戦闘機に乗った気分や、パイロットがどんな風に訓練を積むのかなんてことを知ることはできるかも。訓練とはいえ、ちょっと油断すると本当に空を飛んでいる訳だから、ぶつかったり落っこちたりすれば当然死んでしまう。「あー、こんな訓練するんだ」なんて感じで、『あなたの知らない世界』を垣間見ることができる作品。

IMAXといえば、今度品川のIMAXシアターで「バットマン・ビギンズ」やるんだよね〜私は観れないけど、スパイダーマンをIMAXシアターで観たときも結構な迫力とクリアな映像だったから、今回も見応えあるんだろうな〜
「キングダム・オブ・ヘブン」とは違い、こちらは公開初日に観た。
軽く楽しめるエンターテイメント作品として観るなら十分楽しめる。もともと原作の小説がシリーズ物であるらしいんだけど、以前映画化されたものが失敗だったのか、今回は原作者自ら口を挟んで出来上がった作品だとか。でも、ま、原作もおちゃらけ冒険小説らしいから、そんなにこだわって作品の雰囲気とか質にこだわるほどのものでもないのかもしれないけどね。必ず救うべき女性が出て来て、必ず財宝が見つかるという冒険小説シリーズらしい。だからストーリーは、いわゆる一つの「ご都合主義」。ボールが転がって行った方に財宝の在処を示すような壁画が見つかったり、砂漠でダイナマイトを爆発させたら探していた装甲艦が見つかったりね。でも、それがまうまくつながっているから最後まで楽しめるかも

この作品、主人公はダーク・ピットなんだけど、私としてはダークの良き相棒のアルのほうがキャラ的には好きかな。頼れる相棒だし、結構ヤバい局面にあってもなんか面白いこと言ったりして余裕かましてたりして。彼がいなければダークだってすぐに死んじゃうに違いない。だから、最後のシーンでダークがペネロペ扮するエヴァと一緒にビーチで遊んでいるシーンにアルが出てこないのはちょっと不満だった。彼だって活躍したのに〜

原作がある作品を映像化するのは結構難しいと思うけど、例えばこの映画の中で、アルとダークが二人でトラックの荷台を担いで砂漠の中を逃げるシーンがある。その姿がものすごく滑稽というか、面白いんだけど、こういうのって原作の中でも描写されているんだろうか?この場面の面白さは映像にしないと表現できないと思うから、やっぱり映像化するときに考えた設定なんだろうか。

「キングダム・オブ・ヘブン」は宗教とか信仰のあり方とか、人間として大事にすべきものは何だろうなんていろいろ考えさせられたんだけど、この作品、振り返ってみてもその場面場面での迫力満点のアクションはそれなりに楽しめたけど、特に考えさせられるようなものはなかった。ということは、ほんとに頭を使わずに、ただ純粋に「面白ければいいじゃん」って感じのエンターテイメント作品ということだね。昔、一緒に働いていたスコットランド人に、「『戦場のピアニスト』は悲しいけどいい作品だったよ」って話したら、「いい作品かもしれないけど、映画を見てまでそんな悲しい気持ちとか暗い気分とかを味わいたくないよ」って言っていたのを思い出す。この作品だったら、彼も、ビールかなんか片手に笑いながら気軽に観れるから、彼も楽しめるに違いない。

そんなわけで、お気楽エンターテイメント作品としてはおすすめ。川でのカーチェイスならぬボートチェイスとか、砂漠の中でヘリからの攻撃をよけながら逃げたりとか、アクションは結構楽しめる。特に私はボートでのアクションシーンが好きだったな。アクションシーンがあるから、やっぱり劇場で観た方が楽しめると思う。
この作品でショーン・ペンがアカデミー主演男優賞をとったということは認識していたんだけど、監督がクリント・イーストウッドだったということは認識していなかった。しかも、音楽までクリント・イーストウッドだった。なんて多才なおじちゃんなんだろう、クリント・イーストウッドという人は。

この作品、ずっと暗くて重たい雰囲気の中で進行する。仲良しだった3人がバラバラになってしまうきっかけになった事件は、子供の良心を利用したすごく卑劣な事件。そんな大人のいうことは、絶対信じちゃだめって観ながら思うんだけど、いたずらをして「自分たちはちょっと悪いことをしちゃった」と思っている子供たちに、圧倒的な威圧感で有無を言わせず従わせる大人のずるさが腹立たしい。

そして、事件の被害者はずっとトラウマを抱えて生きることになり、後の二人は「自分があのとき車に乗っていたらどうなるんだろう」という気持ちを消せずに、でも、普段の生活の中では、そんな意識は自分の奥深くにしまい込んで生きている。一人は裏社会を、一人は刑事で、一人はしがない中年男。

クリント・イーストウッドの作品は、振り返ってみると、人間の生き方というか、彼なりに撮りたい人間の姿というのがあるんじゃないだろうか。人間のいいところも悪いところも、美しいところも醜いところも、映画というものを通して彼は人間の様々な姿を演じたり描いたりして来たように思う。今回は何だろう?親子、夫婦、兄弟と、この作品の中ではいろんな絆が描かれている。親子愛、夫婦愛、兄弟愛それぞれ美しいものだけど、時に間違った方向を向いてしまうこともある。娘を愛するが故にその命を奪った者を許せない、夫を愛するが故に夫の犯した罪には目をつぶる、兄を愛するが故に自分の元から出て行かせない。世の中の人間を善人と悪人の二つに分けることなんかできなくて、一人の人間の中に両方あるものなのかも。

思い違いや、一途な気持ち故に起こる悲しい結末。そんな中で、少しだけ希望の光を残すことも忘れない。そして、いろんなものを飲み込んで川だけは悠々と流れている。作品としてはちょっと暗すぎて、なんとも言えない気持ちになってしまうけれど、でも、映画としてのクオリティは高いと思う。
公開されてからずいぶん立ってしまってたんだけど、結構評判が良いので観に行ってみた。この「もっともっと」に前も書いたけど、この作品のTVCMがあまりにもオーランド・ブルームの人気に頼り切って若い女性だけをターゲットにするかのようなむかつくCMだったもんだから、俳優の人気だけに頼った薄っぺら(例えて言うなな「オーシャンズ12」みたいな)な作品かと思っていたんだよね。でも評判は良かったし、実際自分で観てみても、あのおちゃらけたTVCMが作品の印象を台無しにしていることがはっきりわかった。もっと重厚でまじめな作品なのだ。

ただ一つ惜しいと思うことは、キリスト教だの十字軍だの、そういうテーマについて全く基礎知識がないこと。この間の「コンスタンティン」の時にも感じたことだけど、テーマについての基礎知識がないと、「そんなこと言わずもがなでしょ」ということで映画に描かれていないバックグラウンドがわからないために、映画の理解度が下がり、その分楽しみが減ってしまうのかもしれない。ま、おそらく黒澤明を世界的に有名にした「七人の侍」をみた外国人だって、江戸時代の士農工商とか侍が切り捨てごめんとか仇討ちとかそういうことはもしかしたらわかなんなかったとすると、まあ同じですな。映画を楽しむためには、それなりの教養も必要ということか。

「チャラチャラ映画だと誤解させるTVCM作って何やってんだよ、配給会社!」と怒っている私だけど、そのチャラチャラ映画系CMで言われる通り、不覚にも「オーランド・ブルームかっこいい〜?」などと思ってしまった。LOTRでは、妖精のように清らかで、それでいて強くてという役柄を演じた彼だけど、今回の役は、腹が立つほど頑固で実直過ぎるという人間臭い役。あ、ただ、見た目は、ジョニー・デップやキーラ・ナイトレイと共演した、私にはあまり評判の良くなかった「パイレーツ・オブ・カリビアン」とそっくりだ。もしや演じている役柄も似たようなものなのでは・・・。いかんいかん、私も、彼のかっこよさのあまり、「かっこよければそれで満足?」的な評価になってしまっているのではなかろうか。自分では、「ただ単に俳優のネーム・バリューや人気にあやかっただけの映画なんてサイテー。そんなの絶対評価しない」と思っているつもりだったけど、どうやら私自身も騙されているらしい。

言い訳する訳じゃないけど、この作品はオーランド・ブルームの人気だけのチャラチャラ映画ではない。リドリー・スコットがこの作品で伝えたかったことは、そのときの権威者にとって都合の良い宗教の解釈や教義のために、たくさんの人命が失われている現代の戦争やテロの批判だと思う。「異教徒を殺しても殺人にならない」というセリフが映画の中に出てくるけど、絶対にあり得ない。結局、人々の信仰心を利用して、自分の都合の良いように使っているだけなんだろう。人々を苦しみから救うための宗教のために戦争が起きたり、テロが起きたりすることが本当に信じられない。そんな宗教だったらなくていい。そんなメッセージを伝えることがテーマだからこそ、この作品の中でバリアンは負けたかもしれないけどヒーローだし。こんなふうに、しっかりしたテーマ性のある映画に、たまたまオーランド・ブルームが出演しているというだけで、あちこち起こるテロや戦争のことを考えると、決してチャラチャラ映画ではないとわかる。

戦闘シーンは結構リアルだったし、まだ劇場で公開している間に観ておいてよかったと思えた作品だった。

フォーゴットン

2005年6月13日
この作品は・・・B級ですわ。というか、ルールを破っているという言い方が正しいか。ミステリーで犯人は実は双子だったとか、犯人は実は探偵役の奴だったとか、そういう「やってはいけないこと」という暗黙のルールがあると思うんだけど、この作品はその禁を破ったといえるかな。つまり、説明のつかないことをすべてXXで片付けちゃいけないってこと。(XXを書くとかなりのネタばれなので一応控えます)

物語が始まってしばらくの間は、いったい主人公はどんな陰謀に巻き込まれてしまったのかとドキドキしながら観ているのだけど、途中から「え〜、そういうことなの?そりゃないよ〜。これまでの期待感はどうしてくれるんだ!!」という感じに。あ〜これ以上書いちゃうと、これから観に行こうとする人たちに悪いかな。一応劇場で観たいと思っている人もいるかな。でも、劇場に観に行く価値があるかな〜 せめてレイトショーとかレディース・デイにしておいた方がいいんじゃないかな〜

などと考えちゃうわけだけど、別の見方をすれば、低予算で結構がんばったねとほめるべきか。そんなに激しいアクションがある訳でもないし、まあ特殊効果とかスタントとかはあっても、そんなにお金がかかっているようには思えない。おまけに観客の度肝を抜くというと、単純に「音」だけ。まあ途中までは観客の興味を引きつけることに成功している訳だから、がんばったと言えるかも。そういう意味では、この作品のCMは、ネタバレしないように細心の注意が払われていると思われる。ま、そうしないとわざわざ観に行かないかもね。いやいや、私も騙されたクチですわ。

しかし、この作品は最初にも書いた通り掟破りだったという点で、B級の評価を下さざるを得ないね。

ホステージ

2005年6月12日
久々に緊張感あふれて最初から最後まで楽しめる映画だった。ブルース・ウィリスの作品、久しぶりに観たけど、彼にとっても久しぶりのヒットじゃないのかな。

まず、この作品のオープニングタイトルがかっこいい。劇画タッチで赤と黒を基調にして、映画のオープニングのストーリーにうまくつなげてあるんだけど、なんだろう、ちょっと古いけどかっこいい感じだった。昔観た「キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン」のオープニングも結構凝ってて印象に残っているんだけど、この作品のオープニングもかなり印象深い。

そしてストーリーが始まって出てくる交渉人としてのブルース・ウィリス。なんと白髪まじりの口ひげをはやし、紙も中途半端に長くてすごくむさ苦しい感じ。それが1年後のシーンでは頭もおひげもつるっつる。でも毛の無いブルース・ウィリスの方が彼らしい感じがする。

過去の経験から事件の無い田舎町の小さな警察所長におさまったジェフ・タリー。そのせいで家族とも間にはやや溝が。そんなのどかな町で、たんなる不良が高級車を盗もうとしたところが大事件に発展してしまう。それに巻き込まれつつも、せめて奥さんとの溝は埋まったかなと確信した途端、家族を人質に取られて追いつめられた状態から一人で事態に対応することに。

これを思ったのが、人質を取って立てこもる人って、本当の悪者であることは実は少ないのかも。どちらかというと犯人の方も追いつめられたような状況で、自分が殺されるんじゃないかとかなりビビっているものなのかも。あまりにも追いつめられて、プチッとキレて、思った以上の重犯罪を犯してしまうこともあるのかも。そうして自分のやってしまったことにまた動転したり、今の状況を悲観してさらに追いつめられてしまうというところか。もともとセコい犯罪しかできないような肝っ玉の小さな奴らだからなおさら追いつめられてしまうらしい。本当の極悪人だったら、悲観するとかそういう心境に至らないので結果的に追いつめられることもないのかもね。

今回は人質を取って立てこもった犯人の一人は間違いなく肝っ玉の小さいセコい奴なので、犯人もキレる一歩手前の極限状態。一人は最初からキレちゃっている。ジェフは家族を人質にとられ、警察組織にも頼ることができないこれまた極限状態。と、こういう緊張したシーンが最初から最後まで続くものだから観ている方も力入っちゃって疲れました。いい意味でだけどね。

先週観た「フォーゴットン」がちょっとダメダメ映画だったので、満足度が高かった。「おいおい、それはないよ・・・」っていう、こじつけとかご都合主義が鼻につく展開も無かったしね。

今回ブルース・ウィリスの娘役アマンダを演じているのは、ブルース・ウィリスとデミ・ムーアとの間の実の娘(ブルースとデミは離婚したけどね)。この二人の間には3人も娘がいるらしい。今のところ、両親のいずれかが出演する作品にだけ出演してもよいということになっているらしいのだけれど、言っちゃ悪いけど、アマンダ役のこの娘、ちっともきれいじゃない。デミ・ムーアきれいなのにな〜私が言うのもなんですが、ちょっと小太りなのがいけないのかもしれないな。よく観るとお肌も真っ白できれいだったので、磨けば光るのかもしれない。将来はまた美人女優として出て来たりすることもあるのかもね。

いやいや、そんなわけでかなり面白かった、この作品。緊張で肩が凝ってしまうかもしれないけど、満足感はかなりのものだったよ。
なんかスポーツものであるということはDVDのパッケージからわかっていたんだけど、こんな内容だとは思っていなかった。結構涙がこぼれるシーンも。この映画って、キアヌ・リーブスがマトリックスの次に出演した作品のようなのだけど、出てくる子供たちは、みんな素人さんの中からオーディションで選んだらしい。メイキングでみたんだけど、監督さんが子供好きみたいで、子供たちも楽しみにながら撮影に参加したみたいだ。

ストーリーは、ギャンブルで結構大きな借金を作り、かなり逼迫した状況になっているコナーが、週給500ドルのために子供たちの野球チームのコーチを始めるところから始まる。荒んだ生活を送っていたコナーは、当然ながらコーチにも熱意が無かったりする。チームも、最初は練習中にけんかしたり、人数がそろわなかったりといかにも「ボロチーム」という感じなのだ。でも、次第に子供たちとも打ち解けて、子供たちもコナーのことを信頼するようになってくる。

描かれているのは、シカゴの非常に治安の悪い地域みたい。賭けで危ない橋を渡りながら生活しているようなコナーをして「治安が悪い場所だ」といわれるような場所。そこで描かれている生活は、ちょっと日本人である私たちの想像を超えていて、そんなところで暮らしている人たちがいるって言うこと自体がなかなか受け入れられない。夜暗くなると、子供たちが一人で家に帰れないような場所。家の中で生活する人たちが、弾丸をよけるために窓よりも上の顔を出さないように暮らしている様子など、とにかく危なそうな地域。そんな中でも子供たちが野球を楽しむひたむきな姿が心にじんわり来てしまう。

コナーは、本当だったらまた調子に乗ってもっともっとと大きな賭けに走って儲けようとするところをぐっと踏みとどまって、子供たちと一緒に地に足つけて歩む決心をする。これがこの作品のみそなんだろう。思うに、子供たちが、かなり悪い生活環境の中でもなんとかやってる姿に感じるところがあって、一人の大人が自分お生き方も見つめ直し、一つ壁を乗り越えて成長する。これはそんなお話なのかな。

チームの子供たちもとても魅力的。オーディションでイメージに合う子供たちを選んだにしても、子供一人一人の個性がそのまま生きている。小さいけど口達者なGベイビーとか、音楽を聴きながら投げるとすばらしい玉をなげるマイルズとか。

最後に「あれ?どうしてこんな展開なの?」と思ったら、大きなヤマ場が来て、そして感動のラストへ。むせび泣くというほどぼろぼろと涙を流すという訳ではないんだけど、ぽろりと涙がこぼれたりして。派手さはもちろん無いんだけど、じんわり感動する名作。観る価値はあると思う。
往きと帰りとで飛行機の中でやっている映画が違っていた。往きに「これは帰りに観よう」と思っていたのが観られなかったのは残念だったんだけど、帰りは「ミリオン・ダラー・ベイビー」をやるって言うので楽しみにしていたのだ。それなのに・・・観始めて30分かそこらしたあたりで突然途切れてしまった。復旧した後観始めても、もう一度最初からなので、着陸までの間に観終わることができないと判断。で、一番上映時間の短いものを選んだらこれだった。

まあ、ほのぼの動物ものですわ。
シマウマがサラブレッドよりも速く走れるか?って言うお話で、シマウマ自身の成長だけではなく、悲しいことを乗り越えて成長する人間の姿も描いている。現実にありそうなことと、現実にはあり得ないことがごちゃ混ぜになっていて、そのせいでやや中途半端に感じるところがない訳ではない。
例えばライバルのサラブレッドの父馬が、手下に命じてこのストライプスを痛めつけたりすることなんて、人間ならではの発想であって、馬がそんなこと考えたりしないと思うけど・・・なんて考えてしまったりする。動物も意地悪をしたり、他の動物に嫉妬したりすることがあるんだろうか?そんな醜い感情を動物に押し付けるのもなんかちょっと申し訳ないような気がする。

でも、お子様向けには良いと思う。私の考えでは、レモニー・スニケットの世にも不幸な物語よりは子供の教育に良い気がするな。仲間との友情とか、出自に関係なく努力すれば夢は叶うんだとか、意地悪すると懲らしめられるんだとか、そういう教訓じみたことは含まれているので、お子様にも安心して観せられるでしょう。
大人が楽しむにはストーリーが安直すぎて、予想通りの展開なのでやや物足りない感は否めない。
ま、軽い気持ちでちゃっちゃっと観ちゃうということであれば、それなりに楽しめるのでは?

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