こちらでは6月末から公開になっていたこの作品、日本では8月からですね。
私はスーパーマンのオリジナルを観たことがない。
観たことあるのかもしれないけど、全然覚えてない。

そんな私が観ても、この作品は十分楽しめる。
前作とのつながりはそれほど気にならないし。
たぶん前作を観ていた方が、「へーこういうつなぎ方にしたんだ」ってな具合に
より楽しみが増えるという感じなんじゃなかろうか。

最初の方は、ちょっと映像があまりに「作り物」って感じで心配だった。
このままこの「ちゃっちい」感じが続いてしまったらどうしようって。
でも、大丈夫。

観てるとハラハラドキドキさせられるけど、いろんな問題を特別な能力でどんどん解決してくれる。あまりにも次々上手い具合に解決していくので、なんでもそう簡単にいくわけがないって、カワイクナイ私は思ったりするけど、同時に、
「でもな、スーパーマンなんだから、なんだってできるさ」って、なーんか納得しちゃったりして。

スーパーヒーローものでありながら、なんか切ないロマンスの要素も織り交ぜておそらく女性にもそれなりに受け入れられる作品になってると思う。
主人公のブレンダン・ラウスもかっこいいし。
スーパーマンにふんわり持ち上げられて、まるでダンスをするかのように宙を舞ってしまったら、ルイスじゃなくても、キティじゃなくても、うっとりしてしまうに違いない。

前作を観てないから推測だけど、どうやら前作ではルイスとスーパーマンとの間にロマンスがあったらしい。そしてスーパーマンが戻ってきたら、ルイスはリチャードと暮らしていて、子供もいる。
何が一番切ないかって、それはこのリチャードの姿。
自分は命をかけて愛する人を守ろうとしてるんだけど、その愛する人がスーパーマンをどれだけ愛しているかもわかってしまってるって感じで。
それでも彼は、彼女と子供をとにかく一番に考えているそのけなげな姿が印象的だったなー
彼の複雑な心境を、ジェームズ・マーズデンが本当に上手い具合に演じてたと思う。

スパイダーマンも恋愛要素を織り交ぜてたんだけど、スーパーヒーローも自分たちと同じように誰かを愛し、悩む、その姿に共感してしまうんだろうか。アメリカのヒーローがみんな何かと問題を抱えて悩むのはそのせいかしらねぇ。
スーパーヒーローなんだから、なんでも自力で解決できて、なーんの悩みもないっていう感じだと逆にうけないのかもしれない。

この作品、こちらでは、終わったあと拍手だったよ。
観客としては満足度が高かったという証拠かな。私は好き。劇場に観に行く価値は、あると思うな。
いやいやー本当に久しぶりの感想となってしまいました。
このところ忙しくてね。
書いてない間にも、MI3とか、コールド・マウンテンとか観てたんだけどね、なんか感想を書く余裕がなくてーー
そもそも映画を見る本数も激減。
でも今は逆に、現実逃避のために感想を書いちゃってたりします。勉強しなくちゃいけないの。でも疲れたから。

で、この作品、日本では今週末から公開ですね。
どうなのか?と聞かれると、今ひとつですわ。

原因その1は、私の英語の理解力が足りないこと。海賊たちが海賊っぽく話してると、もう聴き取るのが大変で。

原因その2は、私の「一般教養」不足ですな。フライング・ダッチ?クラーケン?知らない人は、ま、こちらでも参考にしてくださいまし。

http://ja.wikipedia.org/wiki/クラーケン

http://ja.wikipedia.org/wiki/さまよえるオランダ人

原因その3は、ストーリーがあってないようなもので、しかも続編のためにそりゃもう中途半端な切り方なのよ。

娯楽としてはいいんだけどね。その場面場面の登場人物たちのコミカルな動きとかは笑えるから。ドタバタ劇だと思ってみればまあよかろうかと。とはいえ、こちらアメリカでは好成績。このお話自体が人気があるからなのか、それともジョニー・デップを始め人気俳優たちが出ているからなのか?
でも、総じて私のまわりでは不人気。ただ、これをDVDまで待ってしまうと、大画面で観るからこそ味わえた迫力すらなくなってしまって、さらに評価が下がるかも?
そんなわけで、話題になんとなーく乗っていたい人は劇場へどうぞ。
そうでもない作品にはビタ一文出したくない方には、DVDで十分かと。

それよりも何よりも、この作品の始まる前にやってたJet Liの最新作のプレビューの方が気になったぞ!彼の「本物」のアクション満載といった感じの作品のようでした。”Jet Li’s Fearless”なんてタイトルだったので、彼の半生を描いたものかもしれないなー。
そのタイトルから、ドタバタコメディ系の映画なのかと思っていたら、どうしてどうして、派手さはないけど、とてもいい作品だった。家族の絆、結婚相手との関係、結婚相手の両親との関係と、その間で主人公が悩んだり、喜んだりする姿がよく伝わってきたもの。

私にはギリシア出身の友達がいないからみんながみんなそうなのかはわからないけど、この映画で描かれているギリシア系アメリカ人のトゥーラとその家族、親族たちは、みんなにぎやかで明るい。よく食べる!今自分が外国にいるからかもしれないけど、外国で暮らすというのはとても大変なことだと思う。私のように会社がお金を出してくれて学校に行ってということなら生活は保証されているけれど、単身でやってきて生活していこうとしたら、それは大変なことだ。ただ、この映画に出てくるトゥーラの両親や親戚たちを見ていると、そんな大変な状況も、おいしいものを食べて明るく乗り切っていけそうなたくましさを感じる。そう、なんか見ているだけで、元気になれそうな人たちなのだ。

親の言われるままに店を手伝って、特別なことは何もない日々を送っていたトゥーラだけど、勇気を出して一歩踏み出し、「コンピュータを使えるように学校に行きたい」と言い出すところから、彼女の生活は変わっていくのだ。大学までなんとなーく進学するのが当たり前みたいになっている日本人にはあまりよくわからないかもしれないけど、アメリカでは、教育にはお金がかかるので、高校を卒業した後就職してそのまま一生を終える人だって少なくない。彼女が自分の意志で、「一歩踏み出そう」としたところも、この映画が私に好印象を与えている理由かもしれない。

そうしてトゥーラは仕事も手に入れて、恋人も手に入れて、結婚まで!
ところが、結婚相手がギリシア人でないことに、父親はがっかり。このお父さんも、トゥーラを困らせるようなことばかり言うんだけど、それは娘がかわいくて仕方なくて、幸せになって欲しいからだし、なんかかわいいお父さんなのだ。そして、一見「お父さんがこのおうちの主」というように見せかけて、実はしっかりお父さんをコントロールしているお母さんのたくましさと優しさも見逃せない。一歩踏み出した姉のことを尊敬しつつ、応援してくれている弟もいい。結局、この家族はみんなとても一生懸命生きているのだ。

文化も生活様式も考え方も全然違う二人のカップルが、結婚を決めて、その家族同士が戸惑いながらも少しずつお互いのことを理解しあっていく姿に、とても感動してしまった。月並みな表現になってしまうけど、お互いが分かり合おう、仲良くしようと心を開けば、うまくいくもんなんだなと。

劇場に観に行くほどの作品ではないのかもしれないけど、とってもいい作品だった。観る価値のある作品。

Matador

2006年3月12日
予告編では、はちゃめちゃコメディなのかと思っていたら、意外になんかいい話だった。笑えるシーンもあるけど、どちらかというと観終わった後は、ほのぼのココロが温かくなるような感じだろうか。そういう意味では予想を裏切られた作品だったけど、悪い作品じゃない。アクションとか、わかりやすーい映画を好む人にはいま一つパンチに欠ける映画かもしれないけど(簡単に言えば地味なんですな)、テンポもいいし、最後まであっという間に観られると思う。元々短いんだけどね。

これは完全に大人向きの映画だ。若い人より、いわゆる中年世代の方が楽しめるんじゃなかろうか。そして何よりも、女性より男性の方がより共感できると思う。主人公のジュリアンはもう若くない殺し屋で、最近ちょっと疲れ気味。「これが前ジェームズ・ボンドのブロスナン?」と思ってしまうほど、なんかちょっとだらしない感じで、「老けたなー、ブロスナン」と思ってしまうほどおっさん臭い。ボンドの影など微塵も見当たらない。(あ、でもあえて挙げるとすると、脚が長いんだよねー。めちゃくちゃスタイルがいい!)

そんなジュリアンに、ホテルのバーで知り合ったダニーは、何やらあまりさえない感じのセールスマン。メキシコシティにビジネスでやってきて、思うようにいってない様子。バーでの失言のお詫びにジュリアンはダニーを闘牛場に誘って、そこで、ジュリアンが、自分はヒットマンなんだって明かすところからこの物語は始まるんだけど・・・ま、その後はお楽しみってことで。ただねー、如何せん地味な映画だから、日本では公開されないかもしれないんだな。DVDで出るのを楽しみにお待ちください。

でもほんと、いい映画であることには違いない。
私は音楽のことはわからないけれど、使われている音楽は70年代とか80年代のヒット曲だと思われるので、そういう意味でもその世代の人たちの方がこの映画をより楽しめるんじゃないだろうか。あと、ジュリアンの「第一線のヒットマンとしてはやや年を取り過ぎた」っていう設定が、この映画に深みを与えていると思うんだよ。年のせいなのか、疲労のせいなのか、仕事が思うようにできないとかさ。そんな状態のときにふと周りを見回すと、なりふり構わずがんばってきたおかげで自分の人生には家族も友達もまともにいないとかさ。

いや、わかる。なかなか難しいことは。だけど、あえて、この映画を、日本のおじさんたちに向けて公開したらどうですかね、配給会社さん?この映画に限っては、レディース・デーに対抗してメンズ・デーを設定し、会社帰りのサラリーマンをターゲットに比較的オフィス街に近い映画館で公開。(あーそういえば、この映画を公開するなら、銀座のシネパトスがぴったりだな。単館上映になっちゃうかなぁ、仮に日本で公開されたとしても・・・)

アビエイター

2006年2月14日
ちらっとニュース映像を見ただけなので詳しい事情は全然よくわからないのだけれど、ついこの間、ヴァージン・アトランティックの新型飛行機の飛行実験のニュースを見た。その飛行機は現在世界中を飛び回っている飛行機とは違い、いわゆる筒型部分(客室部分っていうといいかな?)が2本あって、2本の筒が、左右にかなり長い翼でつながっているような形。おそらく現在の飛行機よりも筒部分が細いように見えたので、空気抵抗が少なく、輸送能力を上げつつも飛行スピードはそれほど遅くならないとかそういうことなのだろうか?とにかく新時代の到来を感じさせる形だった。

そのニュースと、私がこの「アビエイター」を見たタイミングが偶然同じ時期だったのが面白い。この作品でレオナルド・ディカプリオが演じているハワード・ヒューズがもし生きていたら、リチャード・ブランソンのこの新しい飛行実験をどんな気持ちで見つめただろうか?おそらく張り合って、別の新しい飛行機の研究開発に取り組んでいたに違いない。

この作品自体は、アカデミー賞5部門を獲得するほど(でもこの年の作品賞は「ミリオン・ダラー・ベイビー」。納得。)アメリカではとても人気が高い作品だったのだと思うけど、私は、そんなに感動はしなかったかな。これはあくまで推測に過ぎないけれど、この作品の中では、アメリカの歴史上の事実、実際にいた人物などが描かれている。アメリカ人は、こういう「アメリカ合衆国の歴史を彩る様々な人物や出来事」を描いた映画が極端に好きなんじゃないかな。「フォレスト・ガンプ」なんかもそうだもんね。

どこまで忠実にハワード・ヒューズの生涯を描いている映画なのかはわからないけれど、私としては、レオナルド・ディカプリオの熱演は評価したい。ちょっとくどい感じはするけれど、強迫観念にかられる様とか、損得勘定ゼロで映画や飛行機に力もお金も注ぎ込んでしまう様とか、その、ちょっと狂った部分を上手く表現していたように思うのだけれど。

作品全体としてみると、ものすごく心に響いたかと問われれば、なぜかそこまでではないのだ。なんでなんだろう?新しい時代を切り開いた一人の男性が、世間や病気と闘う様子を描いた作品ではあるんだけどね。

私の予想。リチャード・ブランソンが死んだら、あるいは生きている間でも、彼の映画が将来作られると思う!学校を中退し、趣味で始めた中古レコードの商売から、飛行機、映画館、ミュージックストアなどなどを経営する大企業の会長になるまでのサクセス・ストーリーも、気球に乗って冒険したり、新しい飛行機の開発に力を入れてみたりする様子も、映画のストーリーにぴったりじゃない?そして将来その映画を観たら、まあ出来にもよるけど、「いやぁ、本当に映画だった」と私は思うに違いない。なぜって、自分が生きて知っている出来事や人物とともに描かれること間違いないからね。おっと、ということは、歴史ものが好きな傾向はアメリカ人に限ったことではないようだ。

Annapolis

2006年2月13日
調べるまでは知らなかったんだけど、このアナポリスというのはメリーランド州の街の名前なのね。私はてっきり海軍兵学校の名前だと思ってた。この街にあるため、今では海軍兵学校の通称にもなっているということらしい。

で、この映画は、その海軍兵学校のお話。TRISTAN+ISOLDEのジェームズ・フランコの「うるうるの瞳」に興味を覚えた私は、彼が出演していて公開中のこのAnnapolisを観に行くことに決めたのだけど・・・劇場で観るほどのものではなかった。そう言われてみれば、自分でも、以前この「もっともっと」に「たぶん観に行かないと思うけど・・・」と書いているじゃないか!こちらの新聞のコメントでも、『ロッキーが海軍兵学校に入ったらこんな感じじゃないかっていう映画』と書いてあって、「こりゃあ期待できないな」と思っていたんだけど、まったくこのコメントが言い得て妙で笑ってしまった。このコメントの筆者に座布団を2枚差し上げたい。(日本人じゃないから座布団2枚もらってもまったく訳がわからないと思うけど)

海軍士官候補生を養成するこの学校。5万人が願書を出し、そのうち1200人しか入れないという狭き門。ようやく入学できても、あまりに厳しさに途中で辞めてしまう生徒も多いとか。たいていの生徒は高校を卒業して入学するみたいだけど、造船所で働きつつも死んだ母親の希望で自らも海軍士官になることを夢見ていたジェイクが入学するところからこの物語は始まる。

その後は、日本で言うところの「スポ根もの」って感じのストーリーね。ともに厳しい学校のカリキュラムをこなすルームメイトたちとの友情や別れ、学内のボクシング大会に向けての練習、女性教官とのほのかなロマンス。父親との衝突と和解。もう、どれをとっても、昔の日本の「大映ドラマ」のノリなの。

おまけに、ボクシングのシーンが結構たくさんあるんだけど、私がそう感じるだけなのか、映像がちょっと不自然。何でなのかいろいろ考えてみたけど、もしかしたら、俳優(所詮素人)が演じるボクシングのシーンではやっぱりスピード感や迫力に欠けるからなのか、たくさんのシーンと変なふうにつないでいるのか、あるいは早送りしているのか・・・

結論。俳優の名前につられて映画を観に行ってはいけない。
スポ根ものが好きな方、アメリカの海軍兵学校の生活に興味がある人にはおすすめだけど、それ以外の人には特におすすめしない。

TRISTAN + ISOLDE

2006年1月30日
日本ではどんなふうにCMされるのかわかんないけど、こちらの予告編では「ロミオとジュリエットよりも前に・・・」ってなうたい文句なので、観る前から悲恋のお話だってことはわかってた。うーん、私が広報担当だったら、大ヒットした悲恋もの、「タイタニック」を引き合いに出して宣伝するかな。あの映画を何度も何度も何度も何度も観て、何度観ても涙してしまった女性がいたと聞いたけれど、そういう人には間違いなく受ける。女性をターゲットに絞った広報戦略を立てるだろうね。

もともと人びとに語り継がれてきた物語もあるようだけど、有名なのはワーグナーのオペラかな。そのオペラを観たことはないので、Wikipediaで見てみたところ、どうやらこの映画のストーリーとオペラの物語は少し違っているみたい。Wikipediaのストーリーよりも、この映画のストーリーの方がしっくり来る。

トリスタンの役は、「スパイダーマン」シリーズでお友達のハリー役をしていたジェイムズ・フランコ。彼は今私が住んでいる地域から近いPalo Altoという街の出身だと聞いてちょっと親近感がわいてしまった。このPalo Altoという地域はお金持ちが多く住む地域なので、彼もぼんぼんなのかもしれない。ちなみに、同じPalo AltoでもEast Palo Altoという地域は、この辺でも最も犯罪率の高い地域。高速道路を挟んで東側と西側とでこんなに貧富の差がはっきりしているのには驚かされる。

話を元に戻そう。イゾルデはソフィア・マイルズ。全然知らない。と思ったら、今全米で公開中のUnderworldの続編に出ているらしい。前作にも出てたみたいだけど、全然知らなかったな。

ま、ストーリーは観る前から想像がついていたのでそれほど新鮮味とかはないのだけれど、この話を切ないものにしている要素のひとつに、マーク王の人柄の良さがあげられるだろう。彼は幼いトリスタンを守るために手をなくし、両親を失ったトリスタンを育て、トリスタンを最も信頼してくれている家族。しかも、敵対国から来た花嫁のイゾルデを幸せにしようといつも心を砕く、本当によくできたいい人なのだ。そんな自分の命の恩人を、あるいは自分を幸せにしようと心から思ってくれている人を、それぞれ裏切らざるを得ないほど、トリスタンとイゾルデは激しく愛し合ってしまったってことが人の心を打つのねー。そういう意味では、Wikipediaで読んだオペラのストーリーよりも映画のストーリーの方が、二人が恋に落ちる過程が自然で良かったかなという感じ。

マーク王の人柄もとても良かったんだけど、そのマークを演じるルーファス・スウェルっていう俳優さんが、雰囲気的にちょっと渡辺謙に似ている気がして、なんか気になった。あとはジェイムズ・フランコのちょっと涙をためた瞳でしょうかねー。うるうるした瞳でじっと見つめるシーンは切なくて、「あんな目で見られたらたまらないねー」と思ったりして。この映画の中では何度も、その「うるうるの瞳」を観た気がする。そう言えば、「スパイダーマン」でも、父親を思って目をうるうるさせていたのを思い出しました。悲しい時はすぐに涙が出てしまう、涙腺の緩い俳優さんなのかもしれない。「悲恋もの」にはぴったりですな。

ま、ストーリー展開はある程度予測できていたので、とりたててびっくりする内容じゃなかったし、残念ながら私にとっては涙がこぼれるほど感動する部分もなく(「タイタニック』も特に涙が出るほどではなかったし・・・)、「並」な作品。でも決して悪くはない。劇場に観に行っても損じゃないと思うけど、絶対劇場で観なくちゃってほどでもない。

リクルート

2006年1月29日
よく言えばプログラマーとかシステムエンジニア、悪く言えば「それって合法なの?」っていうハッキングとかをしているジェームズ(コリン・ファレル)が、ウォルター(アル・パチーノ)のCIAのエージェントにならないかとリクルートされるところからこのお話は始まる。
ジェームズは、子供の頃父親をペルーでの飛行機事故で亡くしているんだけど、新聞記事を集めたり、ネットで情報を集めたり、父親の死の真相を探っている様子。だけど、ここが惜しい。どうしてそんなに熱心に父親の死の真相を探っているのかっていう部分の描写がいま一つ足りない気がする。もっと、小さい頃のジェームズと父親の絡みとかのシーンがあって、どんなにジェームズが父のことを好きだったかということを示すような描写があれば、ジェームズがどうしてこんなに熱心に死の真相を探ろうとしているか、より説得力があっただろうに。

お話としては、CIAのエージェントになるためにどんな訓練を受けるのかってことがわかって面白い。今まで、エージェントになってからのいろんな陰謀やら工作やらをテーマにした映画はあったかもしれないけど、エージェントになる前をこんなにしっかり描写した映画は珍しいんじゃなかろうか。特典映像に、元CIAエージェントが出て来るんだけど、彼のアドバイスをもとに作っているようだから、国家機密に関連しそうな部分以外は本当なんだろう。

CIAエージェントになるまでの訓練と、誰がスパイでその証拠をどう押さえるかっていうサスペンスの部分をとりまぜたストーリー。

でも感想としては、「B級」だな。コリン・ファレルは好きなんだけど、同じ彼の作品なら、「フォン・ブース」とかのほうがずっとおもしろかったよ。

ーーーーーーーーーーーーーネタバレ注意ーーーーーーーーーーーーーーーーー



誰が誰とは言わないけれど、観始めたときから、「まさかこいつが悪者ってことないよね」って思ってた人がスパイだったので、ちょっとがっかりした。この展開が、この作品を一気にB級に押し下げたって感じかな。スパイとして入り込んだあたりも超いいかげんな説明だし。「実は宇宙人のせいでした」っていう作品よりはましではあるんだけど、なんていうかな、まったく脈絡なく「意外な人が犯人」っていうのは、なんかズルい気がして。伏線が張り巡らしてあって始めて、「おもしろい」なのだ。「怪しいけど決定的な証拠はなく」ってずっと引っ張って行くサスペンスの場合は、必ずどういうトリックだったか説明がされるんだけど、この作品ではその部分がほとんどしっかり説明されないから、それががっかりなんだろうな。きっと。作品中、唯一伏線が
張ってあったのは嘘発見機のところだけか。ふむ=結構期待していただけに、ちょっとがっかりさせられた作品。

恋人たちの予感

2006年1月28日
原題はWhen Harry met Sallyという題名なので、日本語ではなんていうのかわからず探してしまったよ。
メグ・ライアンとビリー・クリスタル。メグ・ライアンはともかく、ビリー・クリスタルは他の映画でほとんど見覚えがない。作品自体の感想としては・・・可もなく、不可もなく。最初の方は特に、集中するのに苦労してしまった。メグ・ライアン演じるサリーになかなか感情移入できなかったのが原因か。なんかちょっとツンとした感じで、いま一つサリーを好きになれず。「なんなんだろう?」って感じだった。それでも、ハリーとサリーが「友達」としてずっと一緒にいる間は結構安心してみられたんだけどね。

メグ・ライアンのヘア・スタイルやファッションが、なんか時代を感じさせたね。1989年の作品ということは、もう15年以上前の作品か。どうりで。フットボールを観に行っていたり、セントラル・パークを散歩してたり、メトロポリタンに行ったり、ニューヨーカーの生活を垣間見ることができたのはおもしろかったけどね。

男女間の微妙な関係を描いた映画で、好きな人は好きかも。でも、どうもなー なんかちんたらしてて退屈してしまった。

キングコング

2006年1月26日
長かったけど、見応えあったなー

一番印象的だったのは、キングコングかな。「キングコング役」って人がいたから、その人の表情なんかを使ってCG処理しているんだと思うけど、全然「作り物」っていう感じがしないで、ある意味とても自然に感じた。本当にあの大きさの生き物がいて、それを撮影しているみたいだったもの。

次にスカル・アイランドのいろんな生き物たち。恐竜はともかくとして、妙にでかい昆虫だの、沼みたいな所から出て来る気持ち悪い生き物だの、あまりにリアルすぎてとても観られなかった。いやいや、思い出すだけでも本当に気持ち悪い。最悪だった。とにかく気持ち悪かったのだから、それくらいリアルな出来だった証拠か。あーやだやだ。自分が同じ状況に陥ったらもう自分で自分を撃ち殺したくなるに違いない。

一緒に観に行った友達は、「そもそもアンがスカル・アイランドの原住民に連れ去られたところで、誰も助けにいかないよ。そこが作り話っぽい」って。そう言われてみれば、身もふたもないって感じ。たしかにアンのことを好きなジャック以外は行かないかもしれないなー。船上で、船員たちと一緒に踊ったりしているアンの姿がちらりと描かれているので、そんなことを通じて船員たちとも仲良くなっていたって考えればみんなで彼女を助けに行っても不自然じゃないかもしれないけど、その部分はちょっと描写不足だったのかも。

アン役のナオミ・ワッツ。彼女が出演した作品はほとんど観たことがないかも。日本の映画をハリウッドがリメイクした「リング」に出てたみたいだけど、私はホラーは観ないし。美しいというよりは、愛嬌があってかわいい感じ。かわいいだけじゃなく意外に逞しい感じも、この役にぴったりだった。あと、彼女のことをひたむきに守ろうとするジャックの役には、やっぱりエイドリアン・ブロディがぴったりだった。ハンサムじゃないし、ちょっと幸が薄そうな顔立ちの彼だけど、「ひたむき」な役柄にはぴったりかと。あと、ジャック・ブラックのギラギラした感じもやっぱりぴったりだったなー

この作品もリメイク。もうずいぶん前の作品のリメイクだけど、最近、昔の作品のリメイクとか、流行ったドラマの映画化とか、流行った映画の続編とか、そういうのが増えてるよね。莫大な制作費をかけるので、前作が流行っていればそれだけでたくさんの人が観にきてくれるだろうと安心して投資できるのかもしれないけど、たくさんの人を楽しませることのできる人間の創造力に限界が来ているかのように思わされてちょっと残念。一方で、たとえばこのキングコング、あるいはスター・ウォーズみたいに、「まだ技術が発達してなかった時代の作品も、今の技術を使えばもっともっといい作品にできるな」と、より完璧を求めようとする作り手側の気持ちも、わからないではないけどねー

長かったけど、飽きることはなかった。
あまりにリアルすぎて観られないシーンもあったんだけど(なにしろムカデとかなんかウネウネした生き物とか嫌いだし、小さくても嫌なのに大きくなったらもう全然観られません)、やっぱりこれは劇場で観るのがお薦めの作品と言えるだろう。

Glory Road

2006年1月25日
バスケットボールが人気スポーツのアメリカでは公開翌週くらいに興行成績第1位だったかもしれない。でも、日本ではどうだろうかね?バスケットボールがそこまで人気って訳でもないし・・・でも、「スラムダンク」も人気があったくらいだから、大丈夫かな。

このお話は実話に基づいた話らしい。
まだ人種差別が色濃く残っていた1960年代。日本語に訳すとすると「全米大学バスケットボール選手権」みたいな感じかな、その大学バスケットボールチームNo.1を決める大会に、アフリカンーアメリカン(映画の中ではニグロ(ネグロ?)という差別用語が使われているけど、今は公の場では使えないはず)の選手たちを率いて出場し、見事優勝に導いたダン・ハスキンスの自叙伝がベースになっているのだとか。

ダンを演じるのは、実は前からちょっと気になっていた、ジョシュ・ルーカス。「ハルク」とか「スィート・ホーム・アラバマ」とかに出ていたときはルックスが結構気に入っていたんですが・・・今回ずいぶんおじさんに見えました。そういう役柄だからかもしれないけどさ、でもなんか急に老けたように感じたのは私だけでしょうか?ただ、熱血コーチぶりは見事。ダン本人を見たことがないのでなんとも言いがたいのだけれど、こんなに熱意を持ったコーチだったら、ほかの誰もがなし得なかったことも成し遂げられるかもしれないと思わせられた。

先日NBAの試合を観にいったんだけど、Kobe Bryantを含め、アフリカン−アメリカンの選手たちが大活躍。彼らのプレーは迫力があって観ていてとても興奮したよ。でも、もし、ダンが彼の選手たちを率いてNCAAを制覇しなかったら、彼らがこうやってNBAでプレーすることもなかったかもしれない。それくらい、ダンとその選手たちが成し遂げたことは、一大学が全米制覇したというだけでなく、もっと大きな意味を持ったことだったに違いない。

じゃあ、ダンは、特別に人権や人種差別を意識した人だったのか?と問われたら、私は「違うんじゃないかな」って答えるな。彼は、ただバスケットボールの試合に勝ちたかっただけじゃないかと。悪い意味じゃなく、白人だろうが黒人だろうが、いいプレーをする選手を起用し、いいプレーをさせようとチームを指揮していただけじゃないかと。彼はスポーツを通じて、肌の色や生まれた所なんて人間の中身には関係ないってことを感じ取り、人種差別がナンセンスだと学んだんじゃないかと。彼の大切に育ててきた選手たちがいろんな妨害にあったりする中で、根強い人種差別を目の当たりにすることはあっただろうけど、彼はそんな人種差別に負けないくらい強く「勝ちたい」って思ってただけなんじゃないかな。

スポーツは、人の心の中にある「壁」を取り除くことのできる一つのツールだと思う。サマースクールのとき、いろんな国から集まったみんなでサッカーをしたんだけど、勝ち負けにかかわらず、試合の後はみんなとの距離がものすごく近くなった気がしたもの。オリンピックが政治の道具に使われたこともあったみたいだけど、スポーツの世界にだけは、そういうものは持ち込んでほしくない。

バスケットボールのお話とはいえ、バスケットボールに興味がなくても、ストーリーだけで十分に楽しめる。というか、感動できる。

この映画、アメリカで観て良かったと思ったのは、存分に盛り上がれるってことかな。日本では映画館で映画観る時黙ってみるよね。こっちの人は盛り上がる、盛り上がる。劇中のバスケの試合であるにもかかわらず、まるでライブのNBAの試合の応援に行っているかのごとく応援するし。ゴール決まったら「いぇーい!」とかって言うし。なんか、バスケの試合も映画も両方観に行ったような、2倍楽しめたような、そんな気がした。
日本で公開されている頃にちょっと観たいかなと思っていたんだけど、何となくそのままになってしまっていた作品。ま、「劇場で観ないと迫力が・・・」という内容ではないので、DVDでも十分楽しめた。この作品は映像やアクションを楽しむものではなく、ストーリーを楽しむ作品だったから。

この作品の中では、日本とアメリカの大きな違いが何点か描かれている。もしも今これを読んでいる人が、これからこの作品を観ようと思っている人で、日本とかアメリカの裁判とかについてはあまりよく知らないってことなら、以下の3つのアメリカと日本の違いについてちょっとまめ知識を仕入れてから観た方が、より楽しめるかもしれない。大丈夫。ネタばれはないですから。

一つは、アメリカでは、武器の所持が憲法で基本的人権の一つとして認められていることだろうか。一般市民が銃を持つことはない日本人からは考えられないことだ。この「武器の所持」が基本的人権として憲法で認められている国はアメリカだけではない。元々植民地で、武力で独立を獲得した国に多いようだ。確かに、武器を取り上げられてしまうと、自分たちの自由のために闘うことができなくなってしまう。まったく同じ目的だったかどうかはわからないけれど、日本人にもおなじみの豊臣秀吉の「刀狩り」も、一般市民から政府に抵抗する術を奪う目的だっただろうし。映画の中で、銃の製造メーカーの社長が、証人として出てきて、「自分はアメリカ合衆国憲法修正第2条の支持者だ」と何度か言うのだけど、その修正第2条っていうのが、武器の所持を基本的人権として認めている条文。

二つ目は、拳銃を使っての犯罪の犠牲者(又はその遺族)が、直接犯罪者を訴えるに留まらず、拳銃メーカーを訴えるというところか。ここには、「ディープポケット」という、「お金のあるところから取る」という考え方があるのだけど、これも日本人の感覚にはなじまないかもしれない。「ディープ・ポケット」の考え方そのものは日本でも考えられることなのだけれど、アメリカの場合、「大企業相手に多額の損害賠償請求訴訟を起こして儲けよう」という弁護士の影響が大きいかもしれない。このような犯罪の犠牲者や遺族に、「勝てなければ報酬はいらないから」と訴訟を起こすことを持ちかけるのだ。日本人の感覚では、犠牲者や遺族が弁護士の所に出向いて「訴訟を起こしたい」というものなのではないかと思うけど、こちらでは、例えばテレビのコマーシャルで「こういう薬を使ってこういう副作用を感じたことがある方はこのフリーダイヤルに電話して!」と弁護士の方から訴訟を起こそうともちかけることは日常茶飯事である。やれやれ。日本は、例え弁護士の数が増えたとしても、こんなふうに弁護士の金儲けのために、事故や犯罪の犠牲になった人やその遺族が法廷に担ぎ込まれて、悲しい出来事の記憶をまたほじくりかえされるような社会には決してなってほしくない。

そして三つ目は、陪審制度かな。日本でも犯罪を裁く刑事事件の裁判では、2009年から裁判員制度という、陪審制度と同じような制度の導入が決まっている。ただ、この映画の場合は、銃の製造メーカーは「犯罪者」ではなく、「AさんのせいでBさんが損(財産の損失も身体や生命の損失も含めて)をしました。Bさんは、その損がAさんの責任であり、したがってAさんにその損を補填してもらうためにAさんを訴えることにしました」という話で、これは民事事件と呼ばれ、日本ではこのような事件は裁判員制度の対象にはならない。ま、それはさておき、この映画の中では、「銃の製造メーカーに、銃乱射事件の責任があるかどうか」という点を、一般市民から選ばれた陪審員たちが判断することになる。だから、銃製造メーカーの方が、金をかけて自分たちに有利な判断をしてもらえそうな陪審員を選んだり、あるいは陪審員に、そういう判断をさせるよう圧力をかけるわけですね。一般市民だもの、探れば人に知られたくない秘密なんて誰にでもある。それをたてに脅迫されれば・・・抗いがたいものがあるよね。日本の裁判員制度。その辺は大丈夫なのかしら。例えば、新興宗教の教祖が殺人罪に問われている裁判の裁判員に自分がなったとして、その宗教の信者が、教祖に有利な判断をするように圧力かけてきたりね・・・あり得るよね。

「そんな制度の違いのことはどうでもいいんだよ!映画はおもしろかったのか、どうなのか?」という人、すみませんね。長々とお付き合い頂いて。いや、すごくおもしろかったよ。この単なる「裁判もの」(アメリカ人ほんとに好きだよね。裁判もの)の要素に、サスペンスの要素を上手く織り交ぜて、最後まで十分に楽しめる内容だった。

The Longest Yard

2006年1月23日
リメイク。しかも、「Mean Machine」っていう、この映画のオリジナル版を基にしたイギリスの監獄サッカーバージョンを先に見ていたので、ストーリーは既にわかっていて、ある意味安心して観られたともいえますかね。気楽に楽しめる作品なので、劇場にまで観に行く必要はないけど、DVDで観るにはいいんじゃないでしょうか。

そうそう、日本人にも受けそうなのは、ボブ・サップが出てるところかな。心優しい力持ち役で出てます。

スポーツを通じてこれまでいがみ合っていた同士が心を通わせるっていう「えー話やなー」的な要素以外には残念ながらこれといって特筆すべき点はないんだよね。私みたいに、勧善懲悪のお話が好きな人には、観たあとすっきりって感じかな。日本でも公開されるだろうか?仮に劇場公開されたとしても、劇場に観に行くほどのものではないかな。DVDで十分な作品。
私にもっと教養があれば・・・この映画はもっともっと楽しめたに違いない。
歴史上実際に存在した人物を織り交ぜてのこのストーリー展開は、シェイクスピアや、彼が生きた時代に活躍した役者さんたち、歴史上の人物、それにシェイクスピアの次の世代に人気のあった劇作家などのことを知っている人にとってはたまらないのだろう。

残念ながら、私がこの映画を観た時には、私は、この映画の中にそんな秘密が隠されているとはつゆ知らず、ただひたすらお話としてみたのでした。映画を楽しむにも教養が必要なのねー。そんなわけだから、なんとなーく観てしまった私には「可もなく不可もなく」だったのです。グウィネス・パルトロウはこの作品でオスカーをゲットしたのだけど、「そうか?」って感じだったしねぇ。エリザベス女王役のジュディ・デンチは相変わらず迫力と存在感がありました。

ま、軽い感じで観るにはいいんじゃないでしょうか。もし、この映画を100%楽しみたいなら、イギリス文学を勉強してからにするのがよいでしょう。
アメリカでベストセラーになった原作の映画化だと知ったのは最近のこと。原作は邦訳も出ているらしいのだけど、ウェブ上でレビューを見ていると「京都の言葉に翻訳するのは本当に大変だっただろうに」と翻訳者の苦労を讃えるコメントが多い。原作に対しても邦訳に対しても評価が高く、原作も今度機会があったら読んでみたいものだと思った。

ハリウッド映画が日本を描く時「いや、それはちょっと違うでしょう?」と思える作品が時々あったりするけど、この作品に関してはそれほど違和感を感じることはなかったな。ま、そもそも渡辺謙や役所広司、桃井かおりが英語をしゃべっている時点で、日本人の私にとっては「違和感」なんだけどね。かえって私には「聴き取りやすい」英語だったりして・・・ゲイシャの世界を知っているわけじゃないから、本当に知っている人からすれば実は違うところもあるのかもしれないけど。

工藤夕貴はともかく、メインの芸者である「さゆり」「まめは」「はつもも」の三人は三人とも中国人。でもそんなに違和感なかったかも。見事だなーと思ったのは「まめは」役のミシェル・ヨー。先輩芸者として「ちよ」を一人前の芸者に育てていく姿は、日本人が見ても日本人の芸者だと言われても疑問を感じないだろうなと思ってしまうくらい。立ち居振る舞いも、着物姿も美しかったし。美しさは万国共通なのかなー。「はつもも」役のコン・リーの意地悪っぷりも、「女の世界でありがちかも」と、ある意味自然な感じ。そう、何か作り物って感じがしなかったんだよね。これも原作の中での描写が詳細でしっかりしているからなのかもしれない。

この作品には舞の海が出て来るんだよ。
日本ではおなじみの彼だけど、たぶんアメリカ人には知られてないと思う。劇場で観ているときに「今この劇場の中に、舞の海のことを知っている人がどれだけいるだろう!!」と思ってしまった。実際に相撲をとるシーンで出て来るんだけど、舞の海の相手の力士はどう見ても素人っぽい感じだったんだよねー。身体が大きいだけで。さすがにこのときはちょっと違和感感じたかな。

それにしても、どうしてタイトルからゲイシャがなくなっちゃったのだろう?原作の翻訳本が「さゆり」だから日本での邦題も「SAYURI」となったのだと思うのだけど、どうして翻訳本を「さゆり」というタイトルにしたのか聞いてみたい。

私はこの作品は結構良かったと思うんだけどな。渡辺謙かっこよかったし。ファンとしてはそれだけで満足しちゃって、甘めの評価かも。
どうしてこの作品を借りるに至ったのか、まったく記憶がないのだ。ウェブ上で観たい作品を登録しておくと、順番に送られて来るっていうレンタルDVDの会員なんだけど、この作品をそのリストに加えた記憶がない。
でも何故か、送られてきたのよ。たぶん何か知らないうちに自分で追加したんだと思うんだけどね。とにかく記憶がない。

で、観てみた。うーん、正直な感想は、「よくわかんなかった」ってことかな。
なんだか知らないけどとても不思議な映画なのだ。人間とか、風景とかは、CGでもアニメーションでもなく、ありがちな会社の倉庫とか、ありがちな街の風景に思えるんだけど、そこで展開されるストーリーがなんか不思議で、よくわからない。

アダム・サンドラーが演じる主人公のちょっとクレイジーな感じがこの作品を不思議なものにしているのか、他のキャラクターも含めてみんながそうしているのか、よくわからない。そもそも、この作品が何を言いたいのかもよくわからなかったかも。

この作品の中で『対象製品を買うとマイルが貯まる』っていうキャンペーンがあって、主人公のバリーはマイルを貯めるためにバカみたいに街中のプリンを買い漁るんだけど、なんとこの部分には実際のモデルがいたのね!それにはびっくり。ディスカウントショップで売っているプリンのバーコードを集めまくってマイルを貯め、アメリカン航空のマイルを125万マイルも貯めて、終身ゴールド会員になっちゃった人がいるらしい。

2002年のカンヌ映画祭では最優秀監督賞も受賞したという作品だけど、私にはその良さが理解できなかったみたい。途中で映画に対する集中力が切れちゃったもの。でも、ハマる人はハマるのかも。
日本では3月に公開なのね。アメリカでは12月中旬に公開されて、1月初めくらいに「キング・コング」から興行成績第1位の座を奪取するほどの人気でした。3月公開ということは、まだ時間があるので、まだ原作を読んだことがない人は、ぜひぜひ、映画を観に行く前に原作を読んでみてほしい。子供向けのお話だし、第1章だけだったらすぐに読めるから。「原作を読むとストーリーがわかっておもしろくないのでは?」と思う人もいるかもしれないけど、この作品に関しては、仮に原作でストーリーを知っていたとしても、映像化されたこのお話の世界を十分に楽しめると思う。

子役たちが素晴らしい。
彼らは「めちゃくちゃ美形」というわけではないのだけど(たぶんそれがいいのだろう)、それぞれのキャラクターにぴったりはまっていたと思う。自然な演技にどんどん引込まれて、映画の途中でなんどジーンときたことか。同じメンバーでの2作目の撮影も決定したというから、次の作品も楽しみだ。
あと、もう一人「ぴったり」のキャスティングが魔女役のティルダ・スウィントン。彼女は「コンスタンティン」で白い天使だったんだけど、あまりに美しすぎて男性でも女性でもない中性な感じがぴったりだった。今回は魔女。こちらも美しすぎて、「冷たい冷たい魔女」って感じがぴったり。

これくらいは書いちゃってもネタバレにはならないと思うのだけど、最初のシーンはロンドンの街を襲う空襲のシーン。太平洋戦争当時、日本の子供たちも田舎に疎開して、そこで意地悪されたり、食べ物を十分食べられなかったりして苦労したと聞いているけど、ロンドンでも同じようなことがあったとは知らなかった。どの国でも、大人たちが始めた戦争で苦労するのは大人だけではないのだ。

この作品は劇場に観に行く価値がある。
原作は子供向けかもしれないけど、映画はむしろ「小さい頃にこの原作を読んだ大人」に向けられて作られているのではないかと思われる。子供が観るにはちょっと迫力ありすぎというか、難しすぎないかな?この作品は絶対大人向けだと思うな。
世の中で、妻を亡くし悲しみにくれる夫の役を演じさせたら、ショーン・ペンに勝る俳優はそうそういないだろう。中年男の悲哀が身体からにじみ出てたね。いやいや、さすがオスカー俳優だけある。だけど、一つ気になったのは、そんな悲しみにくれる中年男が、二コール・キッドマン演じるやや謎のある国連通訳に、自分の妻が死んだってことを伝えるところだろうかね。ちょっと唐突じゃない?暗殺計画を聞いてしまった通訳を警護するシークレットサービスのエージェントが、自分の悲しみのわけを伝えるくだりは不自然に思えて仕方なかった。一旦そのことを明かしてしまった後、親密さが増して二人の距離が近づいていくのはまあいいとして、うーん、やっぱりその最初のきっかけが腑に落ちないな。

でも、最後までからくりがわからなかったから、ストーリーとしては成功といえるのではなかろうかね。DVDだと削除されたシーンが観られるんだけど、これらのシーンを削除して正解!最後まで謎は明かされないほうがずっと良かった。

ここまで書いて、ネタばれはないかと読み返す・・・うんと、これくらいまでなら大丈夫だろう。うむうむ。これから観る人はDVDで観ることになるんだろうけど、それでもネタばれはいけないからね。

サスペンスとしても結構最後の方まで十分楽しめるんじゃないでしょうかね。シークレットサービスのエージェントと、彼が守るべき人間が如何にして親密になっていくか、その最初のきっかけの部分だけです、私が不自然に感じたのはね。

扱っているテーマそのものは、国連の機能とか、どこかの国での虐殺の様子とか、重たいものだと思うけど、それよりはサスペンスとして、単なるエンターテイメントとして観られるかな。

ショーン・ペンの「悲哀がにじみ出る中年男」の演技っぷりだけでも観る価値ありますな。

Syriana

2006年1月17日
たまたまこれを書いている時に、ジョージ・クルーニーがこのSyrianaで、助演男優賞をゲットしたところ。

えっとですね、この映画、私の英語力ではまだまだ楽しめなかったんだよねー。いろんな登場人物にまつわるお話がそれぞれ進行していて、それが全部どこかでつながっているというのがこのお話なんだけど、そのうち会計士と思われる人物が何を発見して、それがどんな風に扱われたのかって部分については未だにわかってない。わかってないからネタばれしようもない。

ただね、この作品、フィクションなんだけど、世界は本当にこんな風に動いているんじゃないかと思わせるのだ。金を儲けたい者が、その力を使ってアメリカという国を動かし、いとも簡単に人を殺しちゃったりする。これを観て、アメリカ人どう思うんだろうね。CIAの職員が「こいつは悪い奴なのよ」って簡単に暗殺指令を出し、CIAのエージェントをいとも簡単に切り捨て、石油の利権がらみで一国の後継争いにまで首を突っ込む。でも、絶対やってると思うの。アメリカって国は。こういうことを。本当に。この映画で、最後に話がつながるまでじっくり我慢して、並行して進行するストーリーを追うのは正直ちょっとしんどいところがあるけれど、でも、もしもアメリカ人がこの映画を観てちょっと反省してくれたら、この作品の価値があるというものだ。だけど残念ながら反省しないんだろうなー。単に作り物だと思うだけで。「あんたらのやっていることは、正義でもなんでもなく、利権を求めて勝手に人の国に侵略したのと同じなんだよ」と言いたいものだ。

ジョージ・クルーニーやマット・デイモンなど、日本でもわりと人気の俳優陣が登場するので、多分日本でも公開されるよね。もう公開されたか?うーん、劇場に行ってみるほどでもないけど、これを観て「アメリカってこんなに悪い国だったのか。許せんな!」と思う人が増えればしめたものだ。日本はアメリカのいうなりだからね。憎しみ合う必要はないし、中国で反日デモが起こったみたいに過激な行動に走ったりする必要もない。ただ、バイアスなしで、「こいつらのやっていることは本当に正しいことなのか?」と考えるワンステップがあればいいと思うんだよね。うんうん。社会派作品が好きな人にはお勧めで、エンターテイメントを求める人には全くおすすめできない作品。

AEON FLUX

2006年1月9日
近未来を描いた作品だけど、なんですかねー可もなく不可もなく。なんか洋服のデザインとかは頑張っているかなと思ったんだけど、ほかの人とあまりに雰囲気の違いすぎる服を着ている反政府勢力の人間って、「目立ち過ぎじゃありません?」と映画の中に入って言いたかった。かと思えば、ストーリーの途中で、まったく一般人の格好をした半政府勢力の人間も出てきたりして、ちょっと中途半端なところがある。
私の英語力が足りなくてお話を理解しきれていない部分ももちろんあるとは思うんだけど、それを差し引いても、1800円払って劇場で観る価値のあるほどのものではないね。そういうのは、シャーリーズ・セロンがどうしても観たい!っていう人だけでよいでしょう。その他の人は、レイトショーとか割引の日に観る程度でよく、DVDが出るまで待っていてもいいかもしれない。

そもそも日本でも公開されるのか?
うーん、シャーリーズ・セロンは相変わらず美しいけど、やっぱりアクションシーンの迫力はあと一息だし。そうそう、この「あと一息」というのがぴったりの評価だな。
ま、そんなわけで、日本での公開を待ちわびるほどの作品ではありません。

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