カーズ

2007年6月12日
車を主人公にしてこんなに活き活きとストーリーを作れるって、さすがピクサー。出てくる車たちがみんないいキャラなんだ。とても自分たちとは違う「車」というものが登場人物になっているとは思えないくらい。アニメーションとはいっても、完成度は高いし、大人も十分楽しめる。

物語は、周りにちやほやされることが当たり前のレーシングカーが、田舎町に迷い込むことから始まる。この映画の中で描かれている田舎町の雰囲気が、日本人である私でも「懐かしい感じ」のする風景だったんだけど、実際にこの時代をアメリカで生きた人たちにとってはもっと感慨深い描写じゃないだろうか。古き良き時代といわれた時代の町の雰囲気がそのまま残っている。そう、今となってはさびれたっていう部分も。

大自然の描写もすばらしい。アニメーションだとはわかっているけれど、本当にこんな景色のところがあってもおかしくないと思えるくらいリアルだ。

そんな町で暮らしている車たちが、みんないいキャラなんだ。今まで「速く走れるか」とか「見た目がピカピカか」なんてことでしか人を見ることができなかったライトニング・マックィーンも、少しずつその見方を変えていく。ストーリーとしては単純かもしれないけど、子供たちに広く見てもらう作品としては、こういう部分がストーリーに盛り込まれているのはいいことじゃないかな。

それにしても、今までと違う価値観、リズム感で物事が進んでく環境に飛び込むことは大切なことだと思う。今いる環境の中に留まっていて、外に目を向けたり、他にもいろんな価値観があるってことを理解しようとしなければ、人間はどんどん狭くなってしまい、自分と違う価値観を持つ人を「バカだ」とか「おかしい」とかって否定することしかしなくなってしまう。楽でしょうよ、違いを理解することなく、「バカだ」と否定しちゃえばね。自分の価値観を崩されることは、その価値観の中で自分の意義とか生きる意味とか見つけている場合にはつらいものだから。そんな人間ばかりになってしまうと、この世の中もずいぶんと生きづらくなるだろうな。全ての人に他の価値観に直に触れるチャンスがある訳じゃないかもしれないけど、自分の世界だけが唯一絶対のものであるというような狭い考え方ではなく、他のもあるんだ、否定しないでまずは理解する努力をしてみようという考え方ができる人を、この国は育てていかなくちゃいけないんじゃないかな。

ちょっと堅苦しい話になりましたが、そんなことは抜きにして、わかりやすい話を、活き活きとした車キャラたちが魅力的なお話にしている。いい作品だった。

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