子供が生まれなくなった近未来のイギリスが舞台。詳しくは語られないのだけど、世界中が荒れ果てていて、主要都市ではテロが多発し、人間が生きていくにはなかなか過酷な環境らしい。そして、子供が生まれない。地球上で一番若い子供が死んだニュースが世界中を駆け巡り、そんな遠いところで生きていた子供の死を誰もが涙を流して悼む時代になってる。ちょっとした近未来映画だと思っていたのに、重たい作品でびっくりした。人間ってほんとにバカだなぁってことがこれを観ていてわかるのだけど、子供が生まれなくなって、このままではどんどん人間が減っていって人類が滅亡するってことが明らかであるにもかかわらず、人間というのは殺し合うものらしい。自分たちの国を守るために、不法入国者はゴミのように殺す。同じ国の人間であっても、自分たちの主張を通すためだったらテロで殺してしまう。

戦争とユダヤ人の大量虐殺をテーマにしていた「戦場のビアニスト」でも酷いなぁと思っていたけど、この作品はそれ以上に戦場の描写がリアルで、不法入国者に対する扱いは、ナチスによるジェノサイドを彷彿とさせる。特に、戦場の描写はそこまでやる必要があるのかというほどリアルで、身体の一部が吹き飛ばされて助けを乞う人、同じように足が一つなくなって、何が起こったのか全然わからずにわめく人が描かれているし、血が飛び散ってカメラのレンズに血しぶきがかかったのをそのまま撮影し続けるシーンもある。このリアルすぎる戦場での描写が、そのあとのシーンというか、敵味方に関わらず人の心に与えた感動の大きさを示しているんだろうね。詳しくは言わないけど。

全体的に、重くて暗い作品。気合い入れて観に行かないとげっそり疲れます。でも、この映画で描かれていることが、あながちお話の中だけのこととも思えないあたりが、余計にこの作品の重さを増しているのかも。

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