ユナイテッド93

2006年9月2日
9.11にハイジャックされた4機のうち、たった1機目的地にたどり着かずに墜落した飛行機がこのユナイテッド93便なのだ。

この映画を制作した人たちに、私は敬意を表したい。変にお涙ちょうだいのストーリーにすることなく、ほとんどドキュメントに近いような形のストーリーが、かえってあの事件の重さを際立たせていた。これほど重たいテーマを、よくも映画にしたものだと思う。

飛行機の中のシーンには、もちろん想像や脚色もあるかもしれないけど、それにしたって、飛行機から最後のかかってきた電話を受けた家族の証言などをもとに、できる限り真実に近づける努力をしたのじゃないだろうか。

驚いたのはエンドクレジットを見た時。
あのとき本当にその場に居合わせた管制官や軍関係者の多くが、そのときの自分を自分で演じているのだ。まず演技がうまい。プロの役者だと思って最後まで観たもの。そして、いったいどんな気持ちで、あのときの自分を演じることを決意したのかと考えさせられた。管制官も軍関係者も、想像だにしなかった重大な事件を目の当たりして、大きなショックを受けたに違いない。にもかかわらず、そのときのショックをもう一度疑似体験させられるような演技をするには、その人たちにも相当な決意が必要だったと思うのだ。

映画からは、世界中の誰もが耳を疑うような事件に対応しきれず、誰もが右往左往する様が描かれている。同時に発生した4つのハイジャック。だけど、それが全てなのかすらわからない状態では、いったいどうなっているのか誰も把握できていなかったようだ。描かれているのは、とにかく「混乱」する様子。その混乱ぶりが、事件の重大さを伝えていた。

WTCから煙が上がっている映像をみてショックを受ける人びと。そして、自分たちがその映像を観ているその場で、2機目の飛行機がもう一つのビルに突っ込んで大きな火の玉が映ったときの人びとの呆然とした姿。あれが、あのときの、あの場にいた人たちの反応だったんだと思う。誰もが言葉を失い、ただただビルを見つめて、「これは現実の映像か?」と自問自答しているような様子。とにかく、目の前で起きていることが信じられないという様子。

飛行機の中でのシーンだから、本当にそうだったのかは今となっては誰もわからないけれど、とても印象的だったシーンがあった。ハイジャック犯たちは、イスラム教の教えをずっとぶつぶつ口にしているのだけれど、犠牲者たちも、十字を切ったりして、やっぱり神に救いを求めている。どちらも、それぞれの神に祈りを捧げているじゃないか!それなのに、それぞれの「神」が違っていて、そして敵同士なの?

重かったけれど、この映画は観てよかった。
今度の9/11で、もうあの事件から5年。さすがに昨日のことのようにはもう思えないけれど、もう5年もたったなんて信じられない。テロは許される行為ではないけれど、そのテロをアメリカは力で押さえ込もうとしてる。その行為は、ただ単に憎しみの連鎖を産み出しているだけで、何の解決にもなってないと思うんだけどな。

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