80日間世界一周

2004年12月17日
ジュール・ベルヌの小説を映画化したというこの作品。ジュール・ベルヌの作品を私自身は読んだことがないけれど、昔ディズニーランドにあったビジョナリアムというアトラクションで、ジュール・ベルヌのことを知ったくらい。彼が作品中に描いたことのほとんどは、もうすでに現実の物になっているのだからすごい。あと実現していないのはタイム・マシンだけだって。「ベルヌが創り出した世界が、科学的に可能なんじゃないか?」という路線から、科学の発達があったのだと考えると、一小説家の作品がその後の科学研究に大きく貢献したと言うことになるのだろうか?だとしたらそれはそれですごい。

この間観た、ジャッキー・チェンの80daysは最悪のできだったんだけど、それとはまた趣の違う、昔の作品。1950年代の作品だったかな。この当時の作品を通じていえることなんだろうけど、とにかくのんびりしている。の〜んびりね。何しろ幕間があるくらいだから。昔の映画には時間の制約という考え方はきっとなかったんだろうな。今はだいたい2時間で、長くても3時間程度に収まってしまっているわけだけど、それって結局興行的な問題だろう。劇場の回転をよくしないとお客さんがたくさんこないわけだから、その分映画そのものの時間は短くして、1日に何回以上入れ替えなんてことになっているに違いない。そういわれてみれば、昔は入れ替え制ですらなかった。ずっと、1日中劇場にこもっていたってよかったわけだから。ずいぶんとのんびりした時代だったんだなと改めて感じる。

さて、そんな時代を反映して、この作品もほんとにテンポがの〜んびり。まず、キャスティングも、80daysとちがって、年齢層を少しあげて、落ち着いた雰囲気になっている。そもそも、フィグにお供することになったパスパトゥは、ちょっとは活躍するんだけど、概ね足を引っ張ることになってて、しかもその理由が「女好き」というところなのも大人向けなんじゃ?綺麗な女性をみると、つい「ふら〜」っとそちらの方についていってしまい、トラブルを招いたり、ご主人様に迷惑をかけたり。「しょうがないやつだな〜」って感じなの。でも憎めないんだけどね。

のんびりの一番の理由は、別にどうってことないなというシーンをいつまでもいつまでも続くことかな。何ともない電車からの風景なんかが、良く言えば丁寧に、悪く言えば延々と続く感じ。でも、昔は今みたいにセカセカしていなくて、自分たちが行ったことのないような別の国の風景なんかをの〜んびりと楽しむ余裕があったに違いない。原住民の踊りをいつまでも撮ってたりね。それものんびりな時代だからこそなせる技なのに違いない。この映画の中ではインドとアメリカ大陸は列車での旅になるんだけど、それをみていると、列車での旅もしてみたいなと思った。最近何かのテレビ番組で、福岡・長崎間だったかな、とにかく九州地方を走っている特急列車が取り上げられていたんだけど、内装もおしゃれで、シートも革張りのゆったりしたもので、しかも座席がゆったりとってあるからとても快適そうだった。快適な列車でのんびり、とくになんともないかもしれないけど沿線の風景を見ながら旅をするというのもよいかもしれないと、この映画を観て改めて思わされたりもした。

最後のおちも、この映画だと説明がつく。80daysでは、敵というか、フィグをじゃましようとする相手方も一緒になって、間に合っただの間に合ってないだの最後の最後までガタガタやるんだけど、それっておかしいと思っていたんだよね。だって、待っている方は1日時差があるなんてことに気づくはずがないもの。「何月何日に帰ってくるはず」ということで、待っている方としては、その日が期限の日じゃないということに気づいていないとおかしいじゃん!
今回観た方の作品は、1周してきたフィグが勝手に勘違いしていったんはガックシ来ちゃった訳なんだけど、待っている方はその日だと思ってずっとずっと待っていたわけだから、そうそう、このエンディングが正しい姿だと思うけどな。

映画の最後に、「誰がどのシーンででていたでしょうか?」っていうのがあって、どのシーンでどの役者さんがどんな役で出ていたかが示されている。このシーンの造りは、「キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン」の最初のシーンと雰囲気が似ている。そっか!この作品は50年代の作品だったな。「キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン」も50年代を描いているわけだから年代的にはぴったり。スピルバーグもその辺意識したのかな〜それとも、50年代の映画といえばこういうのが当たり前なんだろうか?

長かったので一気にみずに、我々も幕間でいったん区切ってみた。観ているときは「のんびりだな〜」と、そのテンポに少し眠くなりそうになったときもあったんだけど、結局こうして考えると、結構楽しんでいたと言うことになるんだろうな。ま、少なくとも80daysよりはずっとずっとましさ〜

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