キスキス×バンバン

ジョニー・イングリッシュとは正反対に、ふざけたタイトルなのに意外にシリアスだったのがこの作品。まず、設定自体があり得ない、ふざけた設定で、タイトルにぴったりの雰囲気だったのに、いつの間にかしみじみした作品になっちゃったよ。
どうなんでしょう？ジョニー・イングリッシュ的なばかばかしさを求めて、「こんなタイトルだから絶対笑えるよ」みたいな感じで観始めちゃった人は、たぶん作品が終わったときに、「し〜ん」って黙っちゃうと思う。いや、別に悪い作品ってわけじゃない。意外だっただけで。

大人向けなんだろうな。イギリスの映画なんだけど、人生のいろんな要素が詰め込まれているかも。恋愛あり、友情あり、涙あり、笑いありという感じ。でも、この作品がタイトルとそぐわず結構重みのある作品に仕上がっているのは、人生の綺麗な部分というよりは、影の部分、暗い部分を結構盛り込んでいるからじゃないのかな。
純粋な心を前にすると、急に自分がものすごく汚れた人間みたいに感じてしまうことがあるんだと思うけど、そういう気持ちって誰もが認めたくないような、ちょっとイヤな気持ちだと思うんだよね。なんか苦々しい気持ち。そういう苦々しさが、この作品には盛り込まれているので、それでなんだか暗く感じたりするんじゃなかろうか。そんなこともあって、期待していたよりは観終わった後にしっとりしちゃったんだけど、まあこれはこれで良い作品かな。

これまで殺し屋稼業を営んできた冷酷な男が、身体は大きくて年もいっている割には心は子供のままで、これまでに外に一歩も出たことがないっていう男に対して、「男の美学」みたいなものを教えていく過程は結構笑える所も多いんだけど、全般的にみれば、やはりしっとり系だねこの作品は。