K-PAX 光の旅人

2003年11月1日
この作品に関しては、もしかしたら原作を読んでから観た方が、お話がより深く理解できてよいかもしれない。もちろん、結末が最初から分かってしまうというデメリットもあるのだけれど。

先に原作本を読んでからこの映画を観た私にとって、ちょっと物足りないかなと思ったのが、精神病院にいる他の患者さん達の描写があまりないこと。彼らがこの作品の中で果たしている役割というのはとても大きいのだけれど、映画の中では、この患者さんがどんなふうにして精神病院に入院するようになったのかということがほとんど描かれていないのはちょっと残念。
原作本では、主な登場人物となる患者さん達の病状がどんなもので、それはどんなできごとが原因になったかということが丁寧に描かれている。なので、この映画をもっと楽しむためには、やっぱり原作本を読んだ方がいいのかなと。

映画は、自分がK-PAXという惑星からやってきたと主張するプロートと、そのプロートの担当医師となるドクター・パウエルとの絡みが中心。
ドクターはプロートが他の惑星から来たとは信じていなくて、自分が異星人だと思っているプロートに本当の自分のことを思い出させようといろいろ治療を試みる。
それはなかなかドクターの思うようにはいかないのだけれど、ドクターとプロートの周りでは少しずつ変化が起こっていくのです。
仕事に没頭するあまり家族を少しないがしろにしてきたドクターも、家族の、特に奥さんのことをもっと大事にしなくちゃと思うようになったり、今までほとんど接触しようとしていなかった先妻との間の息子と会うことになったり。
精神病院の他の患者さん達も、部屋から一歩もでようとしなかった患者さんが外に出て他の患者達と接するようになったり、強迫観念症だったおじいちゃんが窓の外をただぼんやり(本当はぼんやりじゃないんだけど)見つめるようになったり・・・。症状が改善してく患者さんが増えてくのです。

作品は、悲しい事実と、不思議なできごとで終わります。
どうしても解決することの出来ない謎が残ることで、映画が悲しい終わりではなく、「もしかしたら」と思える不思議さを残すことに成功している。

作品としては地味だけど、穏やかな気持ちになれる作品かも。
前編を通じて流れている音楽も、この映画の不思議な雰囲気を出すのに一役買ってる感じです。

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