戦場のピアニスト
2003年10月15日とても重い作品でした。
前評判通り、人が殺されるシーンもとてもリアル。
というか、私自身目の前で人が殺されるのを見たことがないので、リアルなのかどうかも本当はわからないのだけれど。
私がこの映画を見たのは3月19日でしたが、翌日から、また戦争が始まってしまいました。ブッシュ大統領はこの映画を見たでしょうか。観るわけないか。この映画を見ると、理由が何であれ、戦争に賛成なんてできない。
だけど、この映画は、平和だからこそ実現できる「あたりまえ」の生活を送っている多くの人が観るべき映画です。
見るとくったりしますが、DVDとかビデオで見てほしいなと思います。
この映画では、感動的な「ストーリー」はどこにもなく、主人公の身に起きるできごとがただただ淡々と綴られています。
ユダヤ人に対する迫害も、映画がすすむにつれ、どんどん激しくなっていきます。最初は、「自由」を奪われるというところから始まります。所持金の制限、ユダヤ人であることを示す印を付けること、居住地域を制限されること。これだけでも、今私たちが毎日普通に送っている暮らしからすると、考えられない。
だけど、最後には「生命」も奪われてしまう。
ドイツ兵が、ランダムに選んだ人は、他の人たちの目の前で、無意味に殺されていきます。そんなことが続くと、人々も、道ばたに死体が転がっていても全く無関心になっていき、映画の中では、本当にたくさんの、道ばたに転がっている死体が出てくるのです。
どんな理由で死んだか分からない死体がころがっていることもあるのだけれど、「あ、この死体はさっき殺された人のだ」と、そこにある物体がどうして死体になってしまったかの理由が映画を観ている人にわかる死体もたくさんあるのです。死体は片付けられることはほとんどなくて、道ばたにいつまでも放置されているから、それがわかるんですよ。
これが、現実に起こったことだとは信じられないし、信じたくないのだけれど、この映画がほんとに「淡々と」その様子を描き出しているから、まるでニュース映像を見るように、「これも本当に起こったできごとなんだ」と感じられるのです。
映画の中で、酒に酔ったドイツ兵がユダヤ人を鞭で殴りつけながら
「なんで殴るか分かるか?それは今日が大晦日だからだ」
って言うようなシーンがあります。
このドイツ兵だからそんなことをしたんだとは思えず、侵略した側とされた側だから、こんな行為が当たり前になってしまうんだと思えました。
戦争は人の心の暗い闇の部分を育てて、そんな残酷な心でその人を支配してしまうような作用があるのではないかと思うのです。侵略している側に「何をしようと自由で、支配している人々の財産を奪おうと、命を奪おうと、自分の気持ち次第」なんて錯覚を起こさせてしまうのではないかと。
だとすると、今のイラクでも、これに似たようなことが日々起こっているのではないでしょうか。そんな残虐行為が、報道されるとは思えませんし、いくら報道しても追い付かないくらい起こるだろうし、場合によっては、そんな報道を見る側にも「当然の行為」と錯覚する人間も出てしまうだろうし。
毎日のように起こるテロが、こういう「見えない部分」の裏付けになっているような気がしてなりません。
映画の話に戻りますが、主人公を助けるドイツ兵は、もしかしたらとても人間的で、もともと訳もなく人を殺したりするような人ではなかったのかもしれません。だけど、戦争が彼の心を変えてしまい、他の人同様残虐行為も当たり前になってしまう。
そんな変わってしまった彼の心に、本来の優しい気持ちを思い出させたのはピアノの音だったんじゃないかとも思えました。主人公がピアニストじゃなければ、殺されていたかもしれないと。
助けてくれたドイツ兵も、悲しい最期を迎えます。単なるお話だったら、よいことをした人は救われて、感動的なラストシーンというのもありだったかもしれないけれど。これもまた、戦争のせい。個々の行いがどうだったなんてことは無視されてしまうものなのでしょう。
そういえば、何年か前にみた「ライフ・イズ・ビューティフル」も、最後にお父さんは死んでしまうんでしたね。
絶対笑いながら建物の影から出てくるに違いないと、あの男の子同様、私もスクリーンの前でずっと待ってました。最後になっても出てこなくて、あまりに悲しい結末に驚いてしまったくらい。でも、それが戦争なのかな・・・
現代の戦争は、ミサイルのボタン一つでたくさんの人を殺せてしまい、しかも自分は離れたところにいるので、殺戮行為を行っている側の人間に「自分は人の命を奪っている」と気付かせることはないのではないでしょうか。そうなら、ますますたちが悪い。戦争が悲惨なものであるということに気付くチャンスは少ないでしょうから。
ちょうどこの映画を見たときは、戦争が始まってしまった時期だったために、この映画で考えさせられることはますます多かった気がします。
前評判通り、人が殺されるシーンもとてもリアル。
というか、私自身目の前で人が殺されるのを見たことがないので、リアルなのかどうかも本当はわからないのだけれど。
私がこの映画を見たのは3月19日でしたが、翌日から、また戦争が始まってしまいました。ブッシュ大統領はこの映画を見たでしょうか。観るわけないか。この映画を見ると、理由が何であれ、戦争に賛成なんてできない。
だけど、この映画は、平和だからこそ実現できる「あたりまえ」の生活を送っている多くの人が観るべき映画です。
見るとくったりしますが、DVDとかビデオで見てほしいなと思います。
この映画では、感動的な「ストーリー」はどこにもなく、主人公の身に起きるできごとがただただ淡々と綴られています。
ユダヤ人に対する迫害も、映画がすすむにつれ、どんどん激しくなっていきます。最初は、「自由」を奪われるというところから始まります。所持金の制限、ユダヤ人であることを示す印を付けること、居住地域を制限されること。これだけでも、今私たちが毎日普通に送っている暮らしからすると、考えられない。
だけど、最後には「生命」も奪われてしまう。
ドイツ兵が、ランダムに選んだ人は、他の人たちの目の前で、無意味に殺されていきます。そんなことが続くと、人々も、道ばたに死体が転がっていても全く無関心になっていき、映画の中では、本当にたくさんの、道ばたに転がっている死体が出てくるのです。
どんな理由で死んだか分からない死体がころがっていることもあるのだけれど、「あ、この死体はさっき殺された人のだ」と、そこにある物体がどうして死体になってしまったかの理由が映画を観ている人にわかる死体もたくさんあるのです。死体は片付けられることはほとんどなくて、道ばたにいつまでも放置されているから、それがわかるんですよ。
これが、現実に起こったことだとは信じられないし、信じたくないのだけれど、この映画がほんとに「淡々と」その様子を描き出しているから、まるでニュース映像を見るように、「これも本当に起こったできごとなんだ」と感じられるのです。
映画の中で、酒に酔ったドイツ兵がユダヤ人を鞭で殴りつけながら
「なんで殴るか分かるか?それは今日が大晦日だからだ」
って言うようなシーンがあります。
このドイツ兵だからそんなことをしたんだとは思えず、侵略した側とされた側だから、こんな行為が当たり前になってしまうんだと思えました。
戦争は人の心の暗い闇の部分を育てて、そんな残酷な心でその人を支配してしまうような作用があるのではないかと思うのです。侵略している側に「何をしようと自由で、支配している人々の財産を奪おうと、命を奪おうと、自分の気持ち次第」なんて錯覚を起こさせてしまうのではないかと。
だとすると、今のイラクでも、これに似たようなことが日々起こっているのではないでしょうか。そんな残虐行為が、報道されるとは思えませんし、いくら報道しても追い付かないくらい起こるだろうし、場合によっては、そんな報道を見る側にも「当然の行為」と錯覚する人間も出てしまうだろうし。
毎日のように起こるテロが、こういう「見えない部分」の裏付けになっているような気がしてなりません。
映画の話に戻りますが、主人公を助けるドイツ兵は、もしかしたらとても人間的で、もともと訳もなく人を殺したりするような人ではなかったのかもしれません。だけど、戦争が彼の心を変えてしまい、他の人同様残虐行為も当たり前になってしまう。
そんな変わってしまった彼の心に、本来の優しい気持ちを思い出させたのはピアノの音だったんじゃないかとも思えました。主人公がピアニストじゃなければ、殺されていたかもしれないと。
助けてくれたドイツ兵も、悲しい最期を迎えます。単なるお話だったら、よいことをした人は救われて、感動的なラストシーンというのもありだったかもしれないけれど。これもまた、戦争のせい。個々の行いがどうだったなんてことは無視されてしまうものなのでしょう。
そういえば、何年か前にみた「ライフ・イズ・ビューティフル」も、最後にお父さんは死んでしまうんでしたね。
絶対笑いながら建物の影から出てくるに違いないと、あの男の子同様、私もスクリーンの前でずっと待ってました。最後になっても出てこなくて、あまりに悲しい結末に驚いてしまったくらい。でも、それが戦争なのかな・・・
現代の戦争は、ミサイルのボタン一つでたくさんの人を殺せてしまい、しかも自分は離れたところにいるので、殺戮行為を行っている側の人間に「自分は人の命を奪っている」と気付かせることはないのではないでしょうか。そうなら、ますますたちが悪い。戦争が悲惨なものであるということに気付くチャンスは少ないでしょうから。
ちょうどこの映画を見たときは、戦争が始まってしまった時期だったために、この映画で考えさせられることはますます多かった気がします。
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