インソムニア

2003年9月4日
同名のスティーブン・キングの作品があるのだけれど、それとはなんの関係もないと聞いていても、どうしてもイメージが引っ張られてしまうので、思っていた内容とは全然違った。

少女殺害事件と、刑事が内部捜査にさらされる刑事と、田舎町であまり事件がなくてちょっと退屈だと思っている刑事が事の真相を掴んでいく様子。
この三つの要素が本当にうまく絡みあっていて、最後までおもしろかった。

アル・パチーノ扮する刑事は、これまでたくさんの難事件を解決してきた名刑事だけど、凶悪犯を逮捕するために証拠をねつ造したことがある。
その事実を同僚にばらされそうになっているのだけれど、そんな追いつめられた状況で、殺人事件の調査中に間違ってその同僚を撃ってしまって、それを隠そうとするところから、どんどん深みにはまっていってしまう。

追いつめられた状況では、誰もが彼と同じように自分の非を隠そうとすると思うのだけれど、一つついた嘘を隠すために、次々に悪いことをしていく姿と、彼が不眠症に苦しみ、身も心もぼろぼろになっていく様がうまく重なっている。

ロビン・ウィリアムズ扮する少女を殺害した犯人役も、弱みのある主人公の心理を読んでの行動が、彼の優しそうな顔のわりに何考えているかわからないっていう雰囲気をよく出していた気がする。

この二人はそろって道を踏み外していくけれど、自分が悪いことをしているという罪の意識にさいなまれている刑事に対し、少女を殺してしまったことを「自分は悪くない」と正当化している犯人とを比べると、刑事の方が救われるかな。

最後には真実をつかんで、最終的には尊敬している刑事の罪を追究することになるヒラリー・スワンクも、真実を知ることでかえってツライ気持ちになることをうまく表現していたように思う。

こうして比べてしまうと、人物像に深みを持たせて描くこと、ストーリーがうまくできていることなど、作品のできは、日本映画よりもずっと優れている。
ま、日本で公開されるのは本国でヒットしたものだけだから、ヒドイ出来のものは当然日本には入ってこないで、したがって、私が観ているものは、作品としてある程度のレベルを備えたものはずだから、それと比べると、日本映画は不利なのに決まっているのだけれど。

派手なアクションもなく全体的に暗いイメージの作品だけど、サスペンスものの本を読み進めるようなおもしろさのあるよい作品だった。

コメント

お気に入り日記の更新

テーマ別日記一覧

まだテーマがありません

この日記について

日記内を検索